<曇りのち晴れ>認知症の父

2021年7月8日 07時31分
 「ところでいくつになった」。90歳の父が私に娘の年を聞く。「4月から高校3年だよ」と素っ気なく応じる。5分もたたぬうちに、再び「ところで…」と同じことを聞いてくる。
 認知症の患者の言うことを否定するような言動はよくないと、何かで読んだことがある。それを思い出して同じ受け答えをするようにしている。
 昨年、母が入院したとき、深夜に目を離した隙に父がいなくなった。慌てて捜しながら「警察に届け出るか」と妻と相談していると、ほどなくして家に戻ってきた。父は言葉を濁しているが、母を見舞いに行こうとしたらしい。
 これを機に父の今後について本腰を入れて考え始めた。専門家に意見を求め、お世話になっているケアマネジャーに相談したが、まずは家族が方向性を出さねばならないようだ。これがなかなか難しい。
 そんな、こちらの気を知ってか知らでか、父はまたニコニコしながら「いくつになった」。同じことを何度聞いてきても、元気でいてくれれば何よりと思う。 (小田克也、55歳)

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