納豆ラベル愛 ねば~end 収集50年で4000枚! 庶民文化研究家・町田忍さん

2021年7月9日 07時08分

納豆ラベルをコレクションする庶民文化研究所の町田忍所長=目黒区で

 あす7月10日は納豆の日。庶民文化研究所の所長、町田忍さん(71)=目黒区=は約50年にわたって全国各地の納豆を食べ続け、パッケージをコレクションしている。その数なんと約4000枚! 「今はまさにラベル戦国時代」という町田さんが知る納豆ラベルの世界をねば〜っと紹介します。
 「三百六十五日のうち三百六十日は納豆を食べています」と、町田さん。ラベルとの運命的な出会いは一九七三年二月。東北地方を旅した帰りに立ち寄った水戸駅の売店で真っ赤な顔の天狗(てんぐ)面が印刷された「天狗納豆」にくぎ付けになった。「デザインのインパクトにほれ込みました」

収集の原点は水戸駅で見つけた「天狗納豆」。1973年のもの

 もともと銭湯研究で全国各地を旅することが多い町田さんは以来、同時並行で全国の納豆ラベル研究を始めた。自宅周辺で個人商店の納豆屋を巡ると、どこも異なる手描き風のイラストが施されていた。「手作り感がかわいい。おそらくご主人が描いていたのでは」と推測する。
 七〇年代は紙ラベルが中心だったが、八〇年代に入ると、納豆メーカーが台頭し、フィルム化が進む。スーパーに並ぶラベルは均一化された。一方、健康食品ブームで納豆が注目されると、“非納豆圏”と思われていた関西地域でもご当地納豆が出現した。
 町田さんが関西納豆とファーストコンタクトを果たしたのは京都市。一九八二年九月、「京の台所」錦市場の食料品店で、白い紙に紺色の文字で書かれた「小粒京納豆」を購入した。「くさみは控えめだった」と振り返る。その後も旅を続けたが、島根県や四国地方、沖縄県などご当地ラベルの納豆を見つけられなかった地域もあるそうだ。
 納豆は時代も映す。戦時中のラベルには「勝ちぬけ大東亜戦争!!!」「戦時栄養報国」といった文字が躍る。当時から栄養価の高い食品として重宝されたことがうかがえる。
 ラベルの数だけ納豆を食べてきた町田さん。「珍味や珍名もあったけど、外れ味はほとんどなかった。体によくて高タンパクで安い。もっと注目されてもいい食品です」と力説する。
 コロナ禍で家時間の多い今こそ、その日の気分に合ったラベルの納豆を食べてみよう。

◆どこでも「水戸納豆」

 「水戸納豆」は最強のブランド。ラベルにでかでかと「水戸」と書かれているが、実はこれ、納豆の名所・水戸市とは関係なく、目黒区や三鷹市で作られたもの。水戸納豆は、商標登録されていないので、誰でもどこでも自由に使える。やはり「水戸」を掲げると売れるのだ。

◆にっぽん紀行

 東京では東京タワー、長野では善光寺、宮城は金華山、北海道は時計台など、各地の名所が印刷され、ローカル色が全面に押し出されている。「納豆ラベルだけで観光できますね」と町田さん。

◆アニメキャラ

 子どもたちが大好きなアニメキャラクターたちも納豆に登場。町田さんによると、通常ラベルの商品と味は同じで量が少ないだけ。だが、最近はほとんど見かけなくなったという。「版権で料金がかかるわりに売れなかったんでしょうか…」とつぶやいた。

◆ピラミッドパワー?

 町田さんが「今まで見てきた納豆ラベルで一番よく分からなかった」と困惑する「神秘納豆クレオパトラの幸せ」。ピラミッド型の化粧箱には、古代エジプトの女王クレオパトラとみられる少女漫画風の絵が描かれている。三重県のメーカーで、大豆はじめ原材料は三重県産。地産地消にこだわっているようだ。

◆珍タレ

 「カレーなっとう」「まつたけ風味」など、「え、これどんな味?」と疑問符が浮かぶ納豆の数々。町田さんによると「いずれもタレによって味変されています」とのことで、納豆そのものは極めて真っ当。イチオシは「完熟トマトソース」だそうだ。
文・山下葉月/写真・佐藤哲也
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