<TOKYO2020→21>つないだ聖火 新都心で点火

2021年7月9日 07時37分
 東京五輪の聖火リレーは八日、十二市町で行われた。最終区間だったさいたま市は新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置が適用中のため、公道走行が中止された。代わりの催しとして、さいたま新都心公園で開かれたセレブレーションで、市内を走る予定だったランナーらがトーチにともした聖火をつなぐ「点火セレモニー」があった。県内での全日程を終え、聖火は東京都に引き継がれる。(中里宏、渡部穣、杉原雄介、近藤統義)

◆本庄 視覚障害フットサル・岩田さん 「沿道の拍手、涙出そう」

陸船車に乗って聖火を運ぶ岩田さん=本庄市で

 本庄市ではロービジョン(弱視)フットサル日本代表の岩田朋之さん(35)が、江戸時代に地元で発明され、今回復元された足踏み式自走四輪車「陸船車(りくせんしゃ)」に乗って聖火を運び、「沿道の人たちからの拍手でこれまでのことを思い、何度も涙が出そうになった」と感慨深げに話した。
 二十六歳の時に病気で視力をほぼ失った。「家から出るのも嫌だった」と落ち込んだが、ロービジョンフットサルとの出合いや、競技活動を支援してくれた本庄の人たちの存在が支えになり、日本代表の主将としても活躍した。
 聖火リレーを通じて、現在の本庄市に生まれた江戸時代の盲目の国学者・塙保己一が残した「世のため後のため」の精神を語り継ぎたいという岩田さん。「視覚障害の子どもたちの希望をつないでいきたい」と話した。

◆川越 がん手術を乗り越え・渡辺さん 「病気の人の希望になる」

「蔵造りの町並み」を笑顔で走る渡辺さん=川越市で

 川越市の「蔵造りの町並み」を笑顔で駆け抜けた同市の会社員渡辺由香さん(41)。二〇一六年四月、百万人に一人とされる希少がん「腹膜偽粘液腫(ぎねんえきしゅ)」のため、小腸や大腸など九つの臓器を摘出する手術を受けた。
 「ものすごい痛みで、退院から約二カ月は自宅で寝たきりだった」。この間、両親や夫一毅(かずき)さん(40)に支えられた。勤務先の社長からも復職を求められ、数カ月で職場復帰。中学時代に始めたクラリネットで川越フィルハーモニー管弦楽団に所属し、横隔膜の切除で難しくなった演奏にも挑戦している。
 リレー中は沿道の家族や仲間たちの顔を見てこみ上げるものがあったが、笑顔を絶やさず、「病気の人の希望になりたい、もう大丈夫という気持ちで(走り始めて)笑顔が出た。聖火を通じて皆とつながれた」と満足そうに話した。

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