紙袋みたいなごみ箱を開発 下請け脱却へ「テイ製作所」<挑む>

2021年7月11日 05時50分
 紙製品の抜き型を製造する「テイ製作所」(北区)の田中和江社長(45)は昨年4月、「下請けのままでは生き残れない」と危機感を抱いていた。コロナ禍でイベント中止が続発。海外観光客も減り、土産の箱の発注が激減していた。

紙製のごみ箱「Baglike」を開発したテイ製作所の田中和江社長=北区で

◆コロナ禍で不安な従業員に手紙

 「会社の体力はあるので安心して。ものづくりに注力してほしい」。不安を募らせる従業員に手紙を書いた。そう、新たなものづくりができないか。
 自分たちの強みを思い返した。宣伝用の陳列棚の材料となる紙を大量に切り抜く抜き型を製造するため、紙の知識がある。完成品の展開図も描ける。これを自社商品の開発に生かそうと考えた。コロナで需要が急増したパーティションを紙製で手掛けると、保険会社や塾、飲食店に計2000個販売できた。昨年5月には、医療スタッフが入ってPCRの検査をする段ボール製のボックスを制作、保健所や都に寄贈した。

◆紙の知見生かす

 デザイン会社「ヨキヒナ・デザイン」(練馬区)と、紙袋のように持ち運べるごみ箱「Baglike(バッグライク)」を共同開発した。古紙やパルプを原料とした硬い紙で1点ずつ手作り。容量は15~20リットル、重さは1.1キロと軽いため、床掃除の際も簡単に持ち上げられる。クラウドファンディングサイトで3月に先行販売(1個9800円~)すると、目標金額の30万円を上回る約88万円が62人から集まった。
 従業員への手紙は、自らを鼓舞するメッセージだったのかもしれない。田中社長は「挑戦する姿を見て『元気が出た』と仲間たちから言われたのがうれしかった」と振り返る。異色のごみ箱は、近く一般発売する予定だ。(畑間香織)

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