陸自スプレイ木更津配備1年…5年暫定の約束どうなる? 地元はイメージダウン懸念

2021年7月10日 20時11分

陸上自衛隊木更津駐屯地から飛び立ち、初の場外飛行を行った輸送機オスプレイ

 陸上自衛隊の垂直離着陸輸送機V22オスプレイが、陸自木更津駐屯地(千葉県木更津市)に配備されて10日で1年たった。オスプレイは本来、佐賀空港(佐賀市)に配備される計画で、木更津配備は5年以内の暫定措置。だが、政府が佐賀県に配備を要請して7年になるにもかかわらず、地元住民との交渉は難航している。陸自オスプレイは佐賀県に隣接する長崎県内に配備されている水陸機動団との一体運営が前提だが、迷走が続く。 (星野恵一、山田雄一郎)

◆騒音測定の訴え聞き入れられず

 木更津駐屯地は、米軍オスプレイの整備拠点があることから暫定配備地になった。初の訓練飛行は昨年11月で、1機目がホバリング中に警告表示を確認するアクシデントがあった。防衛省は飛行情報の全容は公にしていないが、インターネットに画像や動画がアップされ、日常的な飛行がうかがえる。
 「基地でホバリングする姿を目にするが、本当にうるさい。何か体にのし掛かってくる感じを覚える」。駐屯地近くで潮干狩り場を運営する新木更津市漁業協同組合の江野沢均代表理事組合長(70)は話す。
 既に7機が米国から輸送され、本年度中に全17機が配備されるが、近くの潮干狩り場の関係者たちはイメージダウンを懸念する。3月から7月が市内の潮干狩りの季節で、2019年に19万人が入場するなど漁協の大きな収入源だからだ。負担の見返りに、潮干狩り場の整備などの交付金増額を求めた。

◆期限厳守迫るも「最大限努力…」

 江野沢組合長は「国や市にもっと支援をしてほしい」と訴える。
 市は騒音測定や訓練日程の公表も求めている。駐屯地ホームページには4月から夜間飛行情報が掲載されるようになったが、騒音測定はされないまま。配備に反対する市民らは強い不満を抱いている。
 「5年内の暫定配備の順守を願いたい」。今年3月、防衛省を訪ねた渡辺芳邦・木更津市長の求めに、岸信夫防衛相はこう答えた。「最大限、努力したい」

◆佐賀での交渉も難航

 政府が佐賀県に配備を要請したのは14年7月。空港の建設前、県と地元の有明海漁業協同組合が「空港を自衛隊と共用しない」とする協定を結んでいたが、防衛省は水陸機動団との一体運営を重視した。同省は計100億円の着陸料を支払うことで県と合意。18年8月、県は受け入れを表明した。
 県は協定見直しへの協力を漁協に呼びかけているが、オスプレイの安全性に対する不信感や漁への影響への懸念から、漁業者らは慎重だ。膠着状態の中の今年3月、当時の九州防衛局長らが一部地権者に不動産鑑定前の買収額を提示し、他の地権者らから反発を買った。「買収ありきだ」と地元漁師の古賀初次さん(72)は憤る。
 局長が代わり、6月末から複数回開いた説明会では、買収額を撤回し、防衛上の必要性を説くにとどまった。「丁寧な対応が必要」と防衛省幹部。一方、地権者からは「判断材料が足りない」との声が上がり、ボタンの掛け違いが続いている。

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