[つばめちゃん] 愛知県知多市 畑紘佳(33)

2021年7月11日 07時45分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修
[マイ ビアガーデン]愛知県日進市・パート・62歳 松本保也

 猫の額ほどの小さなベランダに、ビアガーデンをオープン。床に人工芝を敷き、椅子一脚とビールケースをテーブルに蚊取り線香を置いた、なかなかオシャレなビアガーデンだ。
 営業時間は夕焼け空から星空まで。仕事を終え、シャワーを浴びたら一直線に冷蔵庫へ向かう。
 冷えたビールと凍ったグラスと茹(ゆ)で上がった枝豆を持って、ビアガーデンへ。風が気持ちいい。スズメの鳴き声がBGM。
 プシュッ…トクトクトク…。
 夕焼けに向かって、カンパーイ!
 ぷっはー、うめ〜、最高だ! 一日の疲れが吹っ飛んだ。
 「ご飯できたよー」
 えっ、もう閉店のアナウンスが流れた。
 私にとっては最高のビアガーデン。おまじないをかけて、部屋に戻ろう。
 「あした天気にな〜れ」

<評> 泡の弾(はじ)ける音まで聞こえてきそうな居心地満点の癒やし空間。独り占めは、あまりに勿体(もったい)ないと思いませんか? 次回は椅子をふたつ並べ、ご夫婦そろって、至福のおうち時間を堪能なさってください。

◆[気づいているよ]岐阜市・会社員・45歳 福岡真希子

 中学一年の僕は、ここ半年くらいで急に背が伸び、声変わりもした。
 母の横に何げなく並んで
 「完全に追い越したな」
 と言うと、母は悔しそうな顔をして「まだ、腕力は勝っている。勝負する?」と必ず腕相撲を挑んでくる。
 そして、今度は僕が悔しそうな顔をして「勝ち目はないからやめておく」と言うのだった。
 そう。
 以前の僕は腕力に自信がなく、剣道有段者の母に全く勝てなかった。
 でも今は、半年前の僕ではない。
 母は気づいていないが、友だちと腕相撲をすると、たいてい勝ってしまうほどに腕力もついたのだ。
 まだ自分の方が強いと思っている母のうれしそうな顔を見て、もう少し、このまま勝たせておいてもいいかなと思うのだった。

<評> 「親の心子知らず」と言いますが、それは育ての親の目線が基準。一方、子どもは日々たゆまず成長して、親の知らぬ間に、親心を思いやることができる高さまで、自分の心を育てていたようです。


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