漂着プラや釣り具がアートに変身「海の問題知ってほしい」 海ゴミアーティストあやおさん

2021年7月12日 12時00分
 海洋プラスチックなど海のごみが問題になっている中、海岸に漂着したごみを使ってアート作品を作る人がいる。石川県加賀市のあやおさん(29)=活動名=だ。「海ゴミアーティスト」の肩書で、ペットボトルのふたや釣り具のルアーなどを海洋生物の立体作品としてよみがえらせている。数万円の作品はオンラインで販売するとすぐに売れる人気ぶり。なぜ、海のごみで作品を手掛けているのか。(堀井聡子)

海岸のごみで作られたジンベイザメのアート作品

 ザトウクジラのおなかは編み上げられたロープ、カクレクマノミの目玉はペットボトルのキャップ。色合いも本物そっくりだが、着色はしていない。全て、あやおさんが海岸で拾ったごみを、接着剤でくっつけて制作した一点物だ。作り始めたのは、4カ月前から。「海のごみについて知ってほしくて」。それまで、アーティストとして活動したことはなかった。

海岸のごみで作られたカクレクマノミのアート作品=以上あやおさん提供

 初めて作ったのはペンギン。会員制交流サイト(SNS)で販売してみると、その日のうちに友人が購入してくれた。その後もジンベエザメやキンメダイなどオンラインで販売するたび、すぐに買い手が付いた。
 サイズによって税込み3万3730~5万3000円で販売。安い金額ではないが、あやおさんは「環境のために何かしたいけど、何をすればいいか分からないから買ってくれるんじゃないかな。作品を買えば私がまたごみを拾うから」と考える。釣り好きな男性が購入することもあるという。

海岸に漂着したごみから素材を選別し洗浄する=石川県加賀市で

 同県七尾市の能登島に住んでいたころから海のごみが気になっていたが、加賀市へ引っ越してからそれ以上のごみの量に「絶望した」。週1回程度、加賀市の片野海岸や塩屋海岸でごみを拾う。「拾っていると分かる。半分はライターやペットボトルなど一般ごみ、半分は漁具」だそうだ。船上で燃料代わりに燃やされたのか、溶けて形が変わったプラスチックも多い。
 拾ったごみのうち、作品に使う物はかごに入れて持ち帰る。拾うのに2~3時間、つけ置き洗いに2時間、乾燥に半日、保管のため色分けするのに2時間。そしてやっと作品に取り掛かる。シュモクザメを作った時は完成に3日かかった。
 「正直、ごみを拾うのって好きじゃない」ときっぱり。でも、作品が売れることで少しごみ拾いが楽しくなった。砂浜で紫色のプラスチックの破片を見つけると、あやおさんは「あっ、レアなやつ」と声を弾ませ、かごの中に入れた。

海岸に漂着したごみを使ったアート作品を掲げるあやおさん=石川県加賀市の片野海岸で(吉岡広喜撮影)

 SNSでは作品の写真に、海でどんな問題が起きているか説明する文章も添えて投稿している。「まずは知ることが大切。それから、その人ができることを始めてほしい」。そんな願いを胸に作品を作り続ける。

 あやお 1992年生まれ。愛知県一宮市出身。短大卒業後、長野県泰阜(やすおか)村で子どもの山村留学を運営するNPO法人に3年間勤務。「面白い大人になりたい」と、2017年に縁もゆかりもない石川県七尾市の能登島に移住し、「創(つく)る家(うち)」と称して自宅の一部を開放する「住み開き」の生活を送る。結婚を機に、19年12月から同県加賀市在住。

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