酒提供をやめない飲食店と取引停止「国の要請は憲法上問題」「巧妙かつ悪質」 専門家が指摘

2021年7月13日 06時00分
4度目の緊急事態宣言初日を迎えた上野の飲食店街=12日、東京都台東区で

4度目の緊急事態宣言初日を迎えた上野の飲食店街=12日、東京都台東区で

 12日から4度目となる東京都の緊急事態宣言にあわせ、国は酒の販売事業者に対して、停止要請に応じず酒提供を続ける飲食店との取引を停止するよう要請した。要請は法的根拠が不明だが、国から免許を与えられる事業者にとっては無視しづらい。有識者は自由な経済活動を営む「営業の自由」を保障した憲法上、問題になると指摘する。 (原田晋也、畑間香織)
 要請は、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室と国税庁酒税課の連名で、業界団体への「事務連絡」という文書で8日に示された。酒を提供する飲食店を巡っては、政府は取引金融機関から順守を働き掛けてもらう方針を撤回したが、販売業者に対する要請は撤回されていない。
 政府は文書に「飲食店が要請等に応じていないことを把握した場合には、当該飲食店と酒類の取引を停止するようお願いします」と明記した。憲法が専門の横大道聡よこだいどうさとし慶応大教授は「コロナ対策の特別措置法はこうした要請を想定しておらず、事実上のお願いでしかない」と指摘する。
 国税庁は酒類の販売免許を出す権限を持っており、「今回の要請に応じないと報復されかねない」と懸念する千葉県の酒販売店のように、業者にとってはたんなる要請では済まされない。販売業者の経営を制約する恐れがあるため、横大道氏は「憲法(22条)が保障する『営業の自由』の観点から問題だ」と説明。その上で「取引を停止しても業者が自主的にやったことだという言い訳の余地が残り、巧妙かつ悪質なやり方だ」と批判する。
 今回の要請に対して、国税庁は「推進室が主導しているため、そちらに問い合わせてほしい」とコメント。推進室は「担当者が不在」などとして、12日までに回答はなかった。

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