Shall We Dance? ホストクラブ原点回帰 歌舞伎町に大人の社交場

2021年7月13日 07時06分

新宿・歌舞伎町「レジェンド愛本店」で社交ダンスを楽しむ女性客

 新型コロナ第2波さなかの昨年8月、「夜の街」を代表する新宿・歌舞伎町に高級社交ダンスクラブ「レジェンド愛本店」が誕生した。ダンスや料理を楽しめるゴージャスな同店は、老舗ホストクラブの元ホストらが「ホスト界の帝王」の思いと伝統を受け継いだ「大人の社交場」。コロナ禍にふさぎ込む女性たちの心を慰めている。
 六月下旬、ゴールドを基調とした絢爛(けんらん)豪華なダンスフロアに心地よいワルツが流れた。スーツにマスク姿の男性スタッフに手を差し伸べられると、女性客は軽やかにステップを踏んでいった。踊り終えた女性(78)は「五十年ぶりにダンスを再開しました。ワルツを踊れて、心は夢心地です」。五十代女性は「まるで、大人のディズニーランド。コロナ禍でダンスができる場所が減る中、癒やしの空間です」とほほ笑んだ。
 「愛田社長が残した大人の社交場を作ろうと思いました」と話すのは、運営会社社長の桐生武さん(46)。愛田社長とは「ホスト界の帝王」と呼ばれた故・愛田武さん。桐生さんは長年、愛田さんの老舗ホストクラブ「愛本店」でホストを務めた。

店のコンセプトについて話す「レジェンド愛」の桐生武社長

 四十歳で同店を辞め、東宝ダンスホールのインストラクターになるも、二〇一八年十月に愛田さんが逝去。レジェンド愛の開設意向を伝えた上で愛本店のホストに復帰し、歴代最高の売り上げも記録した。
 愛本店はビル建て替えで昨年六月に一時閉店。桐生さんは十五人ほどの同店スタッフと独立し、八月にレジェンド愛本店をオープンさせた。
 でもなぜ社交ダンス? 実は歴史をひもとけば、ダンスこそホストクラブの原点なのだ。
 ホストクラブのルーツは、一九六五年、東京駅八重洲口前にオープンした「ナイト東京」といわれる。富裕層の女性たちは店内で待機する男性をパートナーに指名し、社交ダンスを楽しんだ。
 こんな歴史的背景から、以前の愛本店にもダンスフロアがあった。営業は一部が落ち着いた雰囲気の社交ダンス、夜が更けた二部がアルコールによる接待の二部構成だったという。桐生さんがホストとして働き始めた約二十年前には、ダンスのレッスンもあった。しかし、石原慎太郎知事時代の二〇〇五年ごろ、「浄化作戦」とも呼ばれた取り組みで、接待を伴う店の深夜営業などが厳しい取り締まりを受けるように。二部が一部に前倒しされ、徐々にダンスが踊られることはなくなったという。
 レジェンド愛は、古き良きホスト文化を受け継ぐことを目指している。主な客層は五十代以上。競技ダンスのプロも在籍する。愛本店の元シェフによる本格料理も。今年六月には、二号店として高級ジャズクラブ「レジェンド愛Neo」もオープンした。

宮殿のような空間にジャズの生演奏が流れる歌舞伎町の「レジェンド愛Neo」

 レジェンド愛もNeoも酒類提供の中止といった国や都の要請を全て受け入れてきた。換気で窓を開放し、営業時間は両店とも現在は午後一〜八時。緊急事態宣言中はアルコールを提供しない。スタッフは不織布マスクを着け、定期的にコロナ検査を受ける。入場制限も設け、一日の受け入れは両店とも七組までだ。
 損失は月二百万円にもなるが、「人の命がかかっており、対策はどこよりも徹底します。歌舞伎町から感染が広がったといわれる中、率先していいイメージを広げたい」と桐生さん。「ここは紳士、淑女が無理せずゆっくり楽しめる場所。愛田社長がのこした宝物を引き継いでいきたい」
 問い合わせは、レジェンド愛本店=電03(6233)9378=、レジェンド愛Neo=電03(6380)3327=へ。 
 文・中村真暁/写真・佐藤哲紀
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