コロナ禍 演劇界の苦闘 舞台装置の個室化 口元隠れる衣装 新宿の演博で企画展 来月6日まで

2021年7月13日 07時22分

飛沫防止で口元が隠れるジャケットや、表情が見えるフェースシールドを用いた新国立劇場「願いがかなうぐつぐつカクテル」の衣装=いずれも新宿区の早稲田大学演劇博物館で

 コロナ禍の演劇界の動向を一望する企画展「ロスト・イン・パンデミック−失われた演劇と新たな表現の地平」が、新宿区の早稲田大学演劇博物館(演博)で開かれている。感染対策を施した舞台装置模型や衣装などを展示し「劇場の灯」を守ろうとした演劇人の苦闘を伝えている。八月六日まで。(服部聡子)
 演博は昨年六月から、中止・延期された公演の資料を集め、オンラインで公開してきた。企画展では、その中からポスターやチラシ約五十点に加え、堂本光一さん主演のミュージカル「Endless SHOCK」をはじめ、歌舞伎や2・5次元ミュージカルの舞台映像や写真など百点以上を紹介している。
 昨年七月に再開された演劇公演では、感染対策という制約を、逆転の発想で舞台づくりに生かす試みがあった。PARCO劇場(渋谷区)の「大地」は、雑然とした捕虜収容所の舞台装置を、「密」を避けるため個室に変更して上演。企画展では、変更前と後の舞台装置模型を並べている。これは舞台美術プランナーの堀尾幸男さんが提供。

(上)当初、予定されていたPARCO劇場「大地」の舞台装置模型。雑然とした捕虜収容所だった(下)「密」を避けるために変更された舞台装置模型

 新国立劇場(同区)の「願いがかなうぐつぐつカクテル」では、出演者がフェースシールドを兼ねたくちばしや、襟で口元が隠れる衣装を着けた。これらは舞台衣装デザイナーの大島広子さんが提供した。デザイン画からは、飛沫(ひまつ)防止を図りつつ、作品世界と調和する衣装に腐心した跡が垣間見える。
 演博の後藤隆基(りゅうき)助教は「マスク着用やソーシャルディスタンスといった新しい生活様式は、演劇にも影響を与えています。演劇が社会や生活とつながっていると感じてほしい」と語る。
 会場の壁を埋めるのが、新型コロナを巡る社会と演劇の出来事約八百項目を網羅した、全長約十メートルの年表。最近の動きまで盛り込まれている。過去の疫病と演劇を振り返るコーナーもあり、スペイン風邪によって恋人で劇作家の島村抱月を失い、後追い自殺をした女優松井須磨子が「生きては行かれません」とつづった遺書も公開されている。
 企画展は午前十時〜午後五時。入館無料。休館は七月二十二、二十三日。問い合わせは同館=電03(5286)1829=へ。舞台関係者の生の声を収録した展覧会図録(税込千八百円)も館内で販売している。

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