暗号資産「4カ月で2.5倍に」 架空投資話OZプロジェクトで被害60億円超

2021年7月13日 10時38分
 暗号資産(仮想通貨)の取引で高配当が得られるとうたい、出資者から現金をだまし取ったとして愛知県警に12日逮捕された「OZプロジェクト」の石田祥司容疑者(59)ら主宰者側は、延べ約1万5000人から60億円以上もの資金を集めていた。ブームとなっていた仮想通貨に目を付けて架空の投資話を作り上げ、被害を拡大させた。老後に備えて貯蓄を投じた被害者らは悔しさを募らせる。
 OZプロジェクトは石田、橋谷田拓也(46)、山下幸弘(61)の3容疑者が中心となって出資金を集める仕組みを作っていた。
 「人工知能(AI)搭載の仮想通貨のトレードシステムで4カ月後、元本は2.5倍に」「(仮想通貨を生み出す)マイニング事業への投資で月利5%の配当を1000日間受け取れる」

◆パソコン教室で勧誘「僕からすれば詐欺ではない」

 2017年8月、名古屋市内のパソコン教室で開かれた投資セミナー。10人ほどの参加者がOZプロジェクトの認定講師と名乗る戸島正道容疑者(52)の説明に耳を傾けていた。
 戸島容疑者は「詐欺評論家の僕からすれば詐欺ではない」「早く投資した人は既にもうけてる」と言葉巧みに参加者をあおった。セミナーに参加した50代の夫婦は218万円余りを出資。夫は「仕組みはよく分からなかったが信じてしまった。老後の蓄えを増やすためだった」と話す。
 関係者によると、全国各地で戸島容疑者と同様に「認定講師」を自称する人物が同様のセミナーを開催。「シンガポールに拠点を置く仮想通貨取引所の運営会社がプロジェクトを監修している」「AIによる取引で勝率は90%を超える」が決まり文句だった。

◆口コミやSNSを通じ被害拡大

 認定講師には勧誘した人数に応じて報酬が支払われ、顧客向けにも複雑な紹介料のシステムが設けられていた。口コミや会員制交流サイト(SNS)などを通じて被害が広がった。
 出資者への配当はビットコインなどの仮想通貨と、電子マネーと交換できる独自の「OZポイント」で支払われると説明されていた。ネット上の出資者のページには配当される金額が表示されていたが、実際は出金できなかった。
 名古屋市のセミナーに参加した50代の夫婦も当初はページ上の数字を信じていた。だが、17年10月に主宰者側から出資金の返還を申し出るメールが届き、「詐欺じゃないか」と気づいた。戸島容疑者に尋ねると「自分も被害者。私はあなたの味方」と言われ、うやむやに。今も配当はおろか、出資金さえも戻っていない。妻は「だまされた」と落ち込み、体調を崩して介護が必要な状態にある。夫は12日、4人の逮捕を受け、「私たちの被害は氷山の一角。真実を明らかにしてほしい」と語った。

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