再選後に免停中事故公表の木下都議に批判広がる 「免停期間を勘違い」? 不自然な言い訳、会見もなく

2021年7月14日 06時00分
 無免許運転で人身事故を起こした木下富美子・東京都議(54)への批判がやまない。再選を果たした4日投開票の都議選の最中は公表せず、「免停の期間を勘違いした」という釈然としない言い訳までした。間違いは誰にでもあり、問題はその後、どう対応するか。説明責任を果たさず、有権者と向き合わない姿勢は政治家として許されない。(木原育子)

◆「裏切られた思い」と有権者

木下富美子都議

 「本当に裏切られた思いで、すごく残念。区民の代表と言えない行為をしているので、辞めないとおかしい」。木下都議の地元、板橋区の仲宿商店街を13日に訪れると、出勤途中だった介護職員の女性(51)が憤りを見せた。女性は20年前に離婚し、2人の息子を育てた。「木下さんもシングルマザーと知って応援したいと思った」と、4日は1票を投じていた。
 買い物袋を提げた人でにぎわう商店街を歩くと、自民党や立憲民主党、共産党などの議員のポスターが張られている中、木下都議のものは見つからない。1本、路地に入った場所にある事務所も人の気配は皆無。インターホンを鳴らしても応答はなかった。
 本人のホームページ(HP)に掲載されている謝罪文などによると、事故は2日午前7時半ごろ、同区の交差点で起きた。木下都議の車がバックした際、停車中の車にぶつかり、運転席の50代男性と同乗の女性が軽いけがを負った。免許停止期間中で、警視庁は道交法違反(無免許運転)などの疑いで捜査。木下都議は取材に「2月ごろ免停になったが、事故当日は期間が終わったと勘違いしていた」と釈明した。
 ただ、免停になると警察が免許証を預かり、期間終了後に処分書と引き換えに返還される仕組みで、この説明は不自然。また、所属していた都民ファーストの会に報告したのは5日で、投票日時点で有権者は事故のことを知らなかった。
 都民ファは5日に除名処分にしたものの、有権者の怒りは収まらない。仲宿商店街の時計店の男性店主(40)は「免停中なのに、よくハンドルを握れたと思う。ばれないと思ったのか。言い訳もうそっぱくて、話にならない」。女性(73)は「都民ファの実質的な大将は小池さん(百合子都知事)でしょ。除名で終わりではなく、説明責任を果たさせなきゃだめ」と強い口調で語った。

◆HPに謝罪文のみ 説明責任果たさず

 名古屋市出身の木下都議は大学進学とともに上京し、スペインに留学経験もある。広告大手博報堂で勤務していた頃、当時環境相だった小池知事が手掛けたクールビズキャンペーンに携わったことや、内閣府への出向をきっかけに政治に関わるようになった。2017年の都議選に都民ファから出馬し、板橋区選挙区でトップ当選した。

木下都議のホームページに掲載された謝罪文

 木下都議は8日になってHPに謝罪文を載せただけで、公の場に姿を現していない。国政も含めて、議員が説明責任を放棄するケースは多い。公選法違反罪に問われた元法相の前衆院議員河井克行被告(58)=実刑判決、控訴=と妻の案里元参院議員(47)=有罪確定=や、同罪で罰金40万円などの略式命令を受けた菅原一秀前経済産業相(59)=衆院議員を辞職=らは会見を開かずじまいだった。
 ジャーナリストの鈴木哲夫さんは「議員は有権者の1票を受けて当選しているのだから、どんな不祥事でも説明責任を果たすのは当然。謝罪文は一方的に出しているだけ。会見などで、負託を受けている有権者が思う『なぜ』に答えることができないのであれば、辞職するしかないだろう」と述べた。

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