バッハ氏「コロナ持ち込むことは絶対ない」というけれど…実際は五輪関係者の外出自由

2021年7月14日 20時08分

会談に臨むIOCのバッハ会長(左)と菅首相=14日午後、首相官邸

◆首相が徹底した対応を要請

 菅義偉首相は14日、来日中のバッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長と官邸で会談した。記者団に公開された会談の冒頭で、首相は東京五輪の新型コロナウイルス対策に触れ「全ての関係者が感染対策をはじめ適切な行動をとることが、国民の理解、大会の成功に不可欠だ」と徹底した対応を要請した。バッハ氏は「コロナのリスクを持ち込むことは絶対にない」と言い切った。
 首相は「政府としても万全の感染対策を講じて、安全安心の大会にしたい」と決意を改めて述べた。「人類の努力や英知を結集し、難局を乗り越えることを日本から世界へ発信したい」と、大会の意義も訴えた。

◆感染者急増には触れず

 バッハ氏は、IOC関係者のほぼ100%、選手は85%、メディア関係者も70~80%がワクチン接種を終えたと指摘。対策が「きちんと機能している」と強調した。
 公開された冒頭のやりとりでは、両氏ともに、ほとんどの五輪競技会場が無観客となることや、東京都内でコロナ新規感染者が急増していることなどには触れなかった。
 バッハ氏は会談後、東京大会でのコロナ感染防止対策をまとめた規則集(プレーブック)が守られていない可能性を記者団に指摘され「日本国民にリスクとなる違反があったとの報告は届いていない」と話した。その上で、出入国時や入国後の検査体制が「成功している」との認識を示した。

◆五輪関係者の例外的外出、付き添いなしのケースも

 東京五輪・パラリンピックで来日した大会関係者が宿泊先から特例で外出する際、新型コロナウイルス感染拡大防止のため帯同するはずの大会組織委員会の監督者が、実際には付き添っていないケースがあることが分かった。この問題を取材したNHK番組が14日の野党合同ヒアリングで取り上げられ、内閣官房が事実関係を認めた。
 選手を除く大会関係者用の規則集(プレーブック)によると、入国14日以内でも、宿泊施設や関連施設で食事ができない場合、公共交通機関を使わなければコンビニや持ち帰り用レストラン、飲食店の個室が特例で利用できる。内閣官房はこれまで、特例を認める場合は監督者の帯同が必須だと説明していた。

◆「行動の管理、そもそも無理がある」

 NHK番組が取り上げた都内のホテルは、大会スポンサー約180人が宿泊予定で現在は90人ほどが泊まっている。国内外の割合はほぼ半々だという。支配人は本紙の取材に「組織委から派遣された監督者が1人、常時ロビーにいるが、外出する人への声掛けや帯同はしない」と説明。「これだけ多くの人の行動を管理しようということに、そもそも無理がある」と不安を示した。
 野党会合で、内閣官房は「プレーブックの内容の実効性が担保されていない状況だ」と問題を認めた。組織委には厳格な運用を申し入れる方針を示した。
 立憲民主党の黒岩宇洋衆院議員は「組織委は帯同者がいることを理由に外出の記録を残さないと説明していた。前提が崩れた」と指摘。他の議員も「外出自由になっている」「こんな状況では危なくて五輪はできない」と批判した。(上野実輝彦、大野暢子)

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