池袋暴走事故 90歳飯塚被告に禁固7年求刑 被告は「踏み間違えていない」と無罪主張

2021年7月15日 22時33分
飯塚幸三被告

飯塚幸三被告

 東京・池袋で2019年4月、暴走した車に母子がはねられて死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長飯塚幸三被告(90)の論告求刑公判が15日、東京地裁であった。検察側は「尊い命が一瞬にして奪われた。被害結果は重大だ」として禁錮7年を求刑した。弁護側は無罪を主張し、結審。判決は9月2日の予定。
 検察側は論告で、事故原因は「ブレーキと間違えてアクセルを踏み続けたこと」と指摘。被告が10年ごろから、5回の物損事故を起こしていたことを挙げ、「能力の衰えを感じていたのに、運転のもたらす危険の防止をなおざりにした」と批判した。
 弁護側は最終弁論で、飯塚被告がアクセルを踏み間違えた証拠はないとして、「過失はなく無罪だ」と改めて主張した。
 車いすに乗った飯塚被告は、弁護人に支えられて証言台に立つと、「被害者の方々の気持ちを思うと心苦しいが、私はアクセルとブレーキを踏み間違えていない」と説明。「もう少し早く運転を止めておけばよかった。本当に申し訳なく思っています」と謝罪した。 同罪の法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金。

◆「二人を返して」「重い判決を」遺族ら陳述 

 検察側の論告求刑に先立ち、事故で松永真菜(まな)さん=当時(31)=と莉子(りこ)ちゃん=同(3つ)=を失った遺族らが意見陳述した。「2人を返してほしい」。遺族らの訴えに、傍聴人からすすり泣きの声が漏れた。
 「なぜこんなことが起きてしまったのか。2人を返してくれ、というのが一番の気持ちです」。真菜さんの父、上原義教さん(63)は証言台で声を震わせた。
 真菜さんと莉子ちゃん、夫の拓也さん(34)の一家3人が、翌年には上原さんが暮らす沖縄への移住を決めていた中での事故。「一緒にカフェを開く夢を実現しようとしている矢先だった。被告は刑務所で反省してほしい」と声を絞り出した。
 真菜さんの姉妹の陳述書は、遺族の代理人弁護士が読み上げた。姉は「事故によって2人の命以外にも多くの人生が狂わされたことを分かっているのでしょうか」と陳述。妹は「『なぜ世界で2人が選ばれたのか』といつも考えます」と述べた。
 末っ子の弟は証言台で、「姉はおしゃれだったので、ファッションの相談もしていた。姉たちの中で一番頼りにしていた」と話した。
 拓也さんの両親も陳述した。父は「家族愛にあふれた3人だった」と振り返り、母は飯塚被告に「一瞬にして子どもや孫が目の前からいなくなる気持ちを想像できますか」と迫った。
 最後に証言台に立った拓也さんは、真菜さんとの出会いや結婚までの経緯、莉子ちゃんと3人で旅行に出掛けた思い出を声を詰まらせながら語り、「2人の命は戻らない。前を向いて生きていくためにも、重い判決を望みます」と結んだ。
 閉廷後に都内で会見した拓也さんは、禁錮7年の求刑について「決して足りるものではない」と指摘しつつ、「法律上、最大限の求刑をした検察官には感謝したい」と述べた。
 上原さんは「刑務所に入らなければ彼の心は変わらない」と話した。(山田雄之、三宅千智)

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