<新型コロナ>政府の失業防止策 後手 解雇・雇い止め1万人超 

2020年5月23日 02時00分
 新型コロナウイルス感染拡大による解雇・雇い止めが加速している。厚生労働省が二十二日公表した新型コロナ関連での解雇や雇い止めは、二十一日時点で見込みも含め累計一万八百三十五人と一万人を超えた。今月に入って七千人以上も増加した。自粛の長期化で企業の経営状況が急速に悪化しているのに対し、雇用調整助成金の拡充など政府の失業防止対策が追いついておらず、雇用情勢の深刻化を招いている。 (池尾伸一)
 公表されたのは厚労省が全国の労働局やハローワークを通じて把握した人数で、実際の解雇・雇い止めはこれ以上に多いとみられる。業種別では、ホテル・旅館、観光バスなど観光関係が最多で、緊急事態宣言に伴う自粛の影響を受ける飲食業でも増えている。
 今後、さらに増加が懸念されるのは派遣社員を中心とした非正規社員の雇い止めだ。派遣社員は三カ月ごとの契約が一般的で、六月末で契約が満了する人が多い。五月末にかけ雇い止め通告が相次ぐ恐れがある。
 厚労省は解雇・雇い止めにあった人のうち、非正規雇用が何人いるかを把握してこなかった。しかし今後は非正規の雇い止めが急増すると予測されるため、加藤勝信厚労相は二十二日の記者会見で「非正規と正規、それぞれの動向が分かるよう(な調査を)事務方に指示した」と話した。
 厚労省は休業手当を払った企業に助成する「雇用調整助成金」が解雇・雇い止めを防ぐ「切り札」になるとして、企業に利用を促してきたが、実際の支給はあまり進んでいない。これまでに企業などから受けた相談は約三十五万件。それでも実際に支給が決定したのは、一万七千三百九十二件にとどまっている。
 オンライン申請は受け付け開始初日の二十日、システムトラブルが発生し運用を停止。復旧の見通しは立っていない。企業の負担を減らすために支給上限を引き上げる予算が国会を通過するのも六月にずれ込む公算で、政府の失業防止対策は後手後手に回っている。

オンライン受け付け開始の初日に不具合が発生し、いまだに復旧しない厚労省の雇用調整助成金についてのページ

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