真 東京03探検隊 東京都水道歴史館 「人の暮らしを支えてきた、“水道”の歴史をたどる!」(前編)

2021年8月11日 10時00分

お笑いトリオ“東京03”が、大人の好奇心を満たすディープな世界に飛び込む!


お笑いトリオ「東京03」のメンバーが、これまで知らなかった未知なる世界に足を踏み入れ、さまざまな新発見と出合う人気の連載。
考古学、芸術、科学、サブカルなど、あらゆる分野に触れて見聞を広め、“デキる大人”としてのたしなみを磨きます!

キレイで安全な水を各家庭に届ける“水道”は、人々の暮らしに欠かせない重要なライフライン。しかし、その発展の歴史や仕組みについては、よく知らないという人も多いのでは? 誰もが毎日利用する身近なものであるからこそ、デキる大人としてはしっかりと把握しておきたいところ。というわけで今回は、東京03探検隊の3人が都内にあるディープな水道スポットに潜入してきました!


今回の取材の裏側をこちらの動画でご覧いただけます。これからも「真東京03探検隊」取材の様子をご覧になりたい方は、ぜひYouTube『東京新聞チャンネル』に登録してください!

全国でも珍しい水道ミュージアムへ、いざ!


東京都文京区にある「東京都水道歴史館」にやってきた3人。ここは、東京都水道局が運営する水道専門のミュージアム。今では規模・水質ともに世界有数レベルにまで達した東京の水道。その水道に関する、さまざまな資料が展示されています。
飯塚隊員「水道かー。普段あまり意識したことないけど、おもしろそう」
館内のエントランスはこんな感じ。中央には噴水があり、流れる水の音がなんとも涼しげです。展示物は時代別で1階と2階に分かれており、見学順は2階からとのこと。さっそく行ってみましょう。

現代と大きく異なる、江戸時代の水道事情


2階に上ると迎えてくれたのは、学芸員の金子さん。今回の案内人です。

金子さん
「この施設では主に東京の水道の歴史について紹介しています。今でこそ、蛇口をひねれば簡単に水が出ますよね。しかし、そこにいたるまでには江戸、明治、大正と、先人たちの多大な努力がありました」
飯塚隊員「江戸? 水道ってそんな昔からあるんですか?」
金子さん
「はい。徳川家康が江戸を本拠地としたことが、東京水道のはじまりといわれています。なので今から400年ちょっと前ですね。こちらの地図をご覧ください」

金子さん
「当時の江戸はただの田舎村で、今の銀座や日比谷にあたる江戸城周辺は昔はすべて海辺だったんですね。町を造る際に、全部埋め立てたんです」
飯塚隊員「え、当時の技術でどうやって埋め立てたの? だってブルドーザーもないよね?」
金子さん
「そうですね(笑)。すべて人力によるものだと思います」

飯塚隊員「へー、江戸時代に埋め立てたんだって。角ちゃん、知ってた?」
角田隊員「いやー、知らないなー。日比谷も昔は海の中だったんだね」

しかし、埋め立て地では井戸を掘っても汲めるのは塩水ばかりで、飲めたものではなかったそう。そのため、江戸庶民に飲み水を届けるために、家康の命によって川や池から水を運ぶ“上水”を造り始めます。
金子さん
「最初に井の頭池を水源とする“神田上水”が、次に多摩川を水源とする“玉川上水”が造られました。この2つの上水を使って、江戸庶民へ飲み水を提供したんですね。神田上水は言い伝えでは家康が造ったといわれていますが実際はもう少しあと。三代将軍・家光の頃に完成したという説が一般的です」

豊本隊員「でも、当時はどうやって川や池から水を町に送ったんですか。聞いてるだけで、気が遠くなるほど大変そうだけど(笑)」
豊本隊員の問いに対し、古びた木の筒のようなものを指す金子さん。
金子さん
「当時はこの“木樋もくひ”と呼ばれる木製の管を地下に張り巡らせて、川から水を運んでいました。これは地下から発掘された実物ですよ」
角田隊員「え、ではすごく貴重なものなのでは!?」
金子さん
「まあでも、たくさん埋められていたので発掘していると割とよく出てきます(笑)」
角田隊員「あ、そうなんですね(笑)」
金子さん
「高いところから低いところへ水を送るというとてもシンプルな仕組みです。ただ、自然の傾斜だけに頼っているとどんどん深くなってしまうので、ところどころに水を貯めるますを挟んで水の高さを調節したり、水が漏れないようにやわらかい木の皮を継ぎ目に詰めたり、江戸の人々の知恵が活かされています」
飯塚隊員「なるほど~、あったまいいね~! モノがないからこその知恵ってやつだね」

展示品にふれるのはNGということで、見本用の小型の木樋を金子さんが持ってきてくれました。
金子さん
「これも実物ですよ。飯塚さん、ちょっと持ってみてください」
飯塚隊員「うわ、このサイズでも結構重量あるね。こんなものを当時の人は高低差まで計算して地面の中に埋めてたんだね~」

さらにふたまわりほど大きな木樋を発見。3人でものぞき込めるほどのサイズです。
金子さん
「これは、より上流側の木樋ですね。水量が多く、水の勢いが強い場所だと、これくらい太くないと耐えられないので。町に近づくにつれて木樋は細くなり、最後は竹になります」

続いては、水道が引かれた当時の江戸庶民の暮らしぶりを再現したエリアへ。
角田隊員「おっ、なんだか急に江戸情緒が感じられますな」
金子さん
「この長屋は、当時の大工職人さんの家をイメージしています。4畳半の居間と、1畳半の土間があります」
飯塚隊員「このスペースに何人くらいで住んでいたんですかね?」
金子さん
「家庭によって違いはあったと思いますが、大体4~5人の家族が暮らしていました。当時は押入れがなかったので、かなり手狭な生活をしていたようです」
豊本隊員「ここに5人かー。今だと考えられないね」

飯塚隊員「これは当時の共同の井戸、ですかね?」
金子さん
「その通りです。木樋で運ばれた水はこの井戸に貯めて、みんなで共有して使っていました。水を汲んだり、洗濯物をしながら、井戸を囲んで世間話をしていたようです」
角田隊員「なるほど。井戸端会議ってやつだ」
飯塚隊員「現代と比べるとやっぱり不便なように感じてしまうけど、この時代より前は水道もなかったわけだから、人々の生活も大きく変わったんでしょうね」

金子さん
「そうですね。それまでは川とか谷に水を汲みに行っていたので。江戸の城下が発展するには、水道は不可欠なものだったと思います」

金子さんの案内のもと、江戸の水道事情についての知識を深めていく3人。
多摩川の水を堰き止めて町へと送る羽村堰はむらせきの絵図や、玉川上水を管理していた当時の役人の日記など、貴重な資料がズラリ。

玉川上水が造られるまでの物語を、アニメーションと人形劇で見ることもできます。
金子さん
「玉川上水のすごいところは飲み水だけでなく、いくつにも枝分かれして畑や田んぼにも水を供給していたことですね。それにより、高台でも農作物を育てることができるようになりました」
飯塚隊員「江戸の人も土地も潤していたわけだ。でも、当時は川の水量によって水の供給量も左右されたんでしょうね」
金子さん
「そうですね。基本は江戸城が優先ですし、ダムのようなものもないので。どうしても水不足になることはあったようです」
こちらは、江戸幕府から工事を請け負い、玉川上水の完成に大きく貢献したといわれる庄右衛門、清右衛門兄弟の像。
角田隊員、いい表情をしていますね~。

続いて、なにやら古い書物の前にやってきた3人。
金子さん
「これが当館の一番のお宝です。『上水記』という、江戸時代の書物ですね」
飯塚隊員「なんですか? 『上水記』って?」
金子さん
「江戸の水道の配管などを、すべて記録したものです」
豊本隊員「すごっ!! 確かに記録しておかないと分からなくなるもんね」
金子さん
「はい。当時はこれを見ながら調べ物をしたりしていたそうです。幕府から東京府、そして東京都へと代々引き継がれているもので、3セット作られたうちの1式は将軍様にも献上されました」

飯塚隊員「門外不出のお宝ってわけだ。これは実物?」

金子さん
「いや、これは複製です。実物は普段はしまっているんですが、年に1回だけ展示しています」
角田隊員「そうだよねー。本物をずっと展示してると絶対盗る人がいるから」
飯塚隊員「いや、なんでそこまで言い切れるのよ(笑)」

金子さん
「ここまでが、江戸の水道に関する展示になります。今の東京都とは範囲が異なるのですが」
飯塚隊員「いやー、昔の人たちの知恵と努力はほんとにすごいね。重い木樋を運んで埋めて、細かく記録をとって、壊れたらまた入れ替えて…。感心しっぱなしです(笑)」
金子さん
「そう思っていただけてよかったです。では、もう一度こちらをご覧ください」
最初に見た地図の前に再び案内された3人。金子さんがスイッチを押すと、江戸時代の水道網に重なるようにして、現代の水道網が地図上に映し出されました。


金子さん
「水色のラインが江戸の頃の水道網、白のラインが現代の水道網です」
飯塚隊員「いや、ぜんっぜん、全然江戸と規模が違うじゃん!(笑)」
豊本隊員「いろいろ展示物を見てきてすごいなーて思ったけど、こう見比べてみるとやっぱり現代は段違いだね」
角田隊員「なにやってんのよー、昔の人は」
飯塚隊員「いや、それは違うでしょ(笑)」
金子さん
「近代の水道についてはこのあと、1階でご案内しますよ」
・・・・後編へつづく
後編は8月25日(水)更新予定です。


取材協力/東京都水道歴史館
東京都水道局が運営する水道専門のミュージアム。規模・水質ともに世界有数の水準に達した東京水道の歴史や技術について、実物資料、再現模型、映像など、さまざまな展示物で紹介している。1階は近現代水道フロア、2階は江戸上水フロア。また、3階には水道関連の書籍を扱うライブラリーも備わる。
DATA
住所/東京都文京区本郷2-7-1
入場料/無料
TEL/03-5802-9040
営業時間/9:30~17:00(入館は16:30まで)
定休日/第4月曜休(祝日の場合は翌日休)
公式サイト
※新型コロナウィルス感染症の影響で、掲載したお店や施設の臨時休業および、営業時間などが変更になる場合がございます。事前にご確認ください。

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