<どうなる格差 同一労働同一賃金>非正規公務員 地方で新制度 期末手当支給も月給減

2020年5月11日 02時00分
 政府の「働き方改革」を背景に、四月に導入された地方自治体の新制度「会計年度任用職員」。正規職員との格差が問題になっていた非正規公務員の多くが新制度に移り、民間のボーナスに当たる期末手当を受け取れるようになる。「官製ワーキングプア」ともいわれる状況を改善すると期待されるが、「そうなっていない」という声が多く寄せられている。 (佐橋大)
 非正規の事務職員として三重県庁で働く四十代女性。四月から会計年度任用職員になり、月給の二・六カ月分の期末手当が支給されると説明を受けた。一方で勤務日数、日給がともに減り、月収は二万円減の十二万円台に。昨年度の給与水準なら、期末手当を合わせ年収は二百万円を超えるはずだったが、三十万円以上少ない。結局、昨年度と同程度になる見込みで「格差は全く縮まらない」と嘆く。
 東海地方の自治体図書館で働く女性も同様だ。会計年度任用職員になって期末手当は受け取れることになったものの、毎月の給与が下がった。「仕事の中身は変わらないのに、給与を減らすのはおかしい」と納得がいかない様子だ。
 総務省の二〇一六年の調査によると、全国の自治体で働く非正規公務員は約六十四万三千人。人件費を抑える目的で〇五年から約四割増えた=グラフ。人手が不足しがちな給食調理員や保育士、図書館員では職員総数の半数以上を占める。一方、年収は正規の三割程度という試算もある。
 非正規公務員はこれまで、同じ職種、仕事内容でも「一般職非常勤職員」「臨時的任用職員」など自治体ごとにさまざまな名目で雇われていた=図。新制度はこうした状態をただし、「同一労働同一賃金」の原則に基づき非正規の処遇を改善することを目指す。
 期末手当の支給はその一環だ。総務省は、本年度予算に、主に会計年度任用職員の期末手当の費用として約千七百億円を計上。地方交付税として全国の自治体に配分する。さらに昨年十二月と今年一月には▽合理的な理由なく、フルタイムで働く人の勤務時間を短くしない▽期末手当の支給に伴い毎月の給料を減らさない-という通知も出した。
 にもかかわらず、非正規公務員の問題に詳しい地方自治総合研究所研究員の上林陽治さん(59)は「苦しい財政状況の中、期末手当を支給する代わりに、毎月の給与を減らす自治体は過半数に上るのでは」と指摘。勤務時間を減らす、時給を引き下げるなどの方法を自治体が取る背景には、同省が一八年十月に出したマニュアルがあるとみる。そこでは、会計年度任用職員の雇用期間は最長一年である点を挙げ、正規職員とは仕事の内容や責任の程度が違うと明記。給与水準に一定の上限を設けるのが適当との考えを打ち出している。
 上林さんは「会計年度任用職員の制度は官製ワーキングプアの固定化だ」と警鐘を鳴らす。価値観が多様化する中、行政が担う仕事は広範囲にわたり、非正規の役割は増している。「低賃金など正規との待遇格差が続けばなり手がいなくなり、必要な公共サービスを受けられなくなる」と危惧する。
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