五輪後、2400人感染も「それくらいなら大丈夫」 政府に開催中止の選択肢なし 

2021年7月18日 06時00分
 新型コロナウイルス緊急事態宣言下での東京五輪開幕まで1週間を切った。東京都では17日まで4日連続で新規感染者が1000人を超えるなど、感染状況は明らかに悪化傾向にあり、大会の中止を求める世論は根強い。だが政府には、状況次第で中止を検討する考えは既になく、このまま開幕を迎える方針だ。
 菅義偉首相は16日、政府の東京五輪・パラリンピック競技大会推進本部の会合で「安全安心の大会の実現に向けて最後まで高い緊張感を持って取り組んでほしい」と話した。17日の読売テレビ番組では「たとえ無観客でも、感動を世界に届ける。難局を乗り越えられると発信することに意義がある」と強調した。
 15日に開かれた都のモニタリング会議では、新規感染者の増加が今のペースで続けば、五輪閉幕直後の8月11日には直近1週間平均で約2400人に達するとの試算が示された。だが政府高官は「それくらいなら大丈夫。中止はない」と意に介さなかった。
 五輪開催については、東京が3度目の緊急事態宣言下にあった6月2日の時点で、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が「今の状況でやるのは、普通はない」と指摘していた。首相も「国民の命と安全を守るのは私の責務。守れなくなったらやらないのは当然」と、中止の可能性を否定しなかった。
 だが、それ以降、首相は記者会見などで、どのような感染状況になれば中止を検討するのかといった明確な判断基準を示すことはなかった。
 元日弁連会長の宇都宮健児弁護士は15日、インターネットで集めた大会中止を求める45万超の署名を首相ら宛てに提出した。
 この署名を受け、加藤勝信官房長官は16日の会見で「安全安心な大会」を実現する方針を改めて強調した。感染状況が一段と悪化した場合、大会期間中でも中止があり得るかとの問いには「大事なことは足元の感染に対してしっかりと対応し、ワクチン接種を進めることだ」と話すにとどめた。(村上一樹)

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