突然の要請、遅れる情報・・・「組織委はあてにできない」 海外選手団受け入れホテルの混乱 心無い中傷も

2021年7月17日 18時53分
 東京五輪の開催が迫る中、千葉県一宮町で行われるサーフィン競技の海外選手団が滞在を予定する地元ホテルで、選手の到着が遅れたり宿泊者情報が直前まで届かなかったりなどの混乱が続いている。大会組織委員会からの情報提供も十分とは言えず、そこに、ハイペースで感染が再拡大する新型コロナウイルス対策の負担が重なる。ホテル関係者は「組織委をあてにできず、自分たちの判断で進めるしかない」と嘆く。(太田理英子)

6カ国の選手団を受け入れるホテル「九十九里ヴィラそとぼう」のフロント=千葉県いすみ市で

 「急にチェックインを24時間体制にしろと言われても無理。英語が話せる従業員のシフトを変えないといけない」。サーフィン会場から車で約10分のホテル「九十九里ヴィラそとぼう」(同県いすみ市)で15日朝、総支配人の杉本春枝さんが電話口で強い口調で訴えた。
 相手は組織委の担当者。この前日には、チェックイン予定と聞いていたドイツ選手団が姿を見せなかった。杉本さんが組織委に連絡すると「17日に変更になったとメールした」と言われたが、該当するメールは届いていない。宿泊人数を聞いても「分からない」。15日午後になり、ようやく「3人」と連絡が来た。
 同ホテルは2年前から、組織委の要請でフランス、スペイン、イタリアの選手らの受け入れを決めていた。今年6月になって組織委から突然、「選手の部屋が足りない」とドイツ、モロッコ、オランダの関係者の部屋も押さえるよう依頼が来た。
 各国の選手らは18日から順次チェックインする予定だが、17日時点で正確な宿泊人数が分かっているのは3カ国のみ。組織委から感染対策のガイドラインや食事メニューのサンプルが届いたのも、6月に入ってからだ。食事はビュッフェ形式で、選手らにはビニール手袋を着けて容器に食事を盛り、別々の部屋で食べてもらうことにした。
 杉本さんは「人数や到着時間が分からないと料理の用意もできないのに、情報が来ない。組織委には電話もなかなかつながらない」とぼやく。「組織委内の連携もできておらず、担当者は疲弊していて、末端にしわ寄せが来ているみたいだ」

大会組織委員会などからのメールを確認する従業員。イタリアからは直接、食事メニューの問い合わせが来ていた=千葉県いすみ市の「九十九里ヴィラそとぼう」で

 選手団を受け入れていることで、五輪開催への抵抗感や感染への恐れからの中傷も受ける。「なぜ受け入れるのか」などの匿名の電話のほか、地元住民からは「ホテルの従業員に近寄らないほうがいいと、皆が言ってる」との声が寄せられたという。
 「本来は選手を泊めるのは名誉なことなのに、今は罪人みたい。平和の祭典という五輪の趣旨とかけ離れている」と杉本さん。「感染者を出さず、選手にリラックスして過ごしてもらうことを考えるだけ」と肩を落とした。

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