<新型コロナ>寂しさ、空虚感まぎらわしたい… 飲酒量増えてませんか?

2020年4月21日 02時00分
 新型コロナウイルス感染防止で、家にこもりがちになる中、アルコール摂取の増加が懸念されている。依存症の問題に長年取り組む精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳(あきよし)さん(40)=写真=は、飲酒リスクを認識することや、できる限りこれまでの人間関係を保てるような工夫を呼び掛ける。 (小林由比)
 「すでに『コロナスリップ』という言葉が現場では聞かれています」。四月に開院した「大船榎本クリニック」(神奈川県鎌倉市)で、アルコール依存症などのケアに携わる斉藤さんはこう話す。スリップとは、治療で依存対象をやめている最中、再び手を出してしまうこと。感染リスクや、経済悪化による生活への影響、失業、離婚、孤立…。さまざまな不安に襲われ酒を飲んでしまうケースもみられる。
 国内のアルコール依存症の患者数は百万人を超えるとされるが、専門治療につながっている人は5%程度という。斉藤さんは「治療を受けていない人が見えないところで危機的な状況に陥っている可能性がある」とみている。
 依存症の人たちが匿名で集う自助グループなど、当事者で語り合い、励まし合う場を命綱にしている人もいる。しかし公共施設の閉鎖などで定例会を開けない団体が増えている。「依存症からの回復には、酒で失った人間関係の再構築と新たな依存先が必要。その一つが自助グループ。つながりを確認できない状況はとても心配」
 飲酒問題がありながら自覚に乏しい人たちにも、酒量が増える可能性がある。いつもなら仕事を終え外に飲みに行く人が、家で昼間から飲み始めたり、帰りの電車の時間を気にせずダラダラ飲んでしまったり。「結果的に飲酒時間が長くなり、量も増えてしまう傾向がある」と斉藤さん。
 「寂しさや空虚感など否定的な感情をまぎらわそうと、酔いたくて飲むお酒は危険」。家族への暴力の背景に飲酒問題が潜むことも多い。「リーマン・ショックや東日本大震災の後も、アルコール依存症の受診者が増えた経験がある。混乱の中にある今だけでなく、今後失業や貧困などが広がれば、うつ病や自殺とともに依存症の問題が顕在化する」と指摘している。

■まずは記録をつけて

 外出自粛でいつもより酒量が増えてしまったかも…と感じたら?
 斉藤さんは「まず記録をつけること」と助言する。カレンダーを使うと簡単。飲まなかった日、またはビール500ミリリットル程度(純アルコール換算20グラム以下)の適正飲酒量だった日は青、多量飲酒(同40グラム以上)の日は赤、その中間は黄といったように色分けしてシールを貼る(数値は男性の目安)。「酒量が増えている時は何か理由があるはず。自分のメンタルヘルスやコンディションを見つめるきっかけにもなる」
 記録は家族など身近な人と共有する。問題意識が同じ人と取り組むと継続しやすい。飲酒量を記録するスマホアプリもある。
 同僚や友人とのオンライン飲み会がブームだが、「人とのつながりを感じられる意味では、良いのでは」と斉藤さん。ただし、飲酒開始時間や飲酒量をあらかじめ設定するなど、節度を持つことが大切だ。

関連キーワード

PR情報

ライフの新着

記事一覧