<新型コロナ>生活にも打撃 暮らし支える給付や手当 制度の仕組み知り活用を

2020年4月16日 02時00分
 新型コロナウイルスの影響で仕事を休まざるを得なかったり、失業したりして生活が苦しくなる人が増えている。国は減収世帯に三十万円を給付するが、対象は限られる。給付金以外にも、暮らしを支える制度は複数ある。仕組みを知り、活用したい。 (河郷丈史)

◆臨時給付金 30万円対象を調整

 国が打ち出した緊急経済対策の目玉で、注目を集めているのが収入が減った世帯に三十万円を給付する生活支援臨時給付金(仮称)。給付対象の範囲を巡り、政府が最終調整中で、変わる可能性があるが、基本的には世帯主の収入状況が二つのパターンのどちらかに当てはまる必要がある。
 一つ目は今年二~六月のいずれかの月収が昨年よりも下回り、国が定めた基準額(住民税非課税水準)以下になること。基準額は世帯構成によって異なる。単身世帯は十万円、扶養家族が一人(二人世帯)なら十五万円で、一人増えるたびに五万円が加算される。
 例えば、四人世帯の世帯主の月収が四十万円から二十五万円に下がった場合、基準額(二十五万円)以下となり、給付対象になる。
 もう一つは、世帯主の月収が昨年の半分以下となり、かつ基準額の二倍以下となることだ。例えば、四人世帯で、世帯主の昨年の月収が百万円だった場合、収入が基準額の二倍にあたる五十万円以下になれば、給付を受けられる。
 ただ、感染拡大前の月収に上限がないため、この二つの条件だけだと、例えば、月収が百万円から半減した人は支給対象となる一方、四十万円から二十六万円に減っても支給されない。
 また、あくまで基準は世帯主の収入。共働きの場合、配偶者の収入が減っても勘案されないことになる。世帯全体の収入で家計を維持しているような家庭では、世帯主以外の収入が減っても影響は大きい。
 これらのことから、批判が続出。総務省が運用方法を再検討している。
 同省は「公務員や大企業の従業員などは当てはまらない」と想定。生活保護受給者や年金のみで生活している人も、原則対象外だ。
 申請窓口は市区町村。収入状況を示す書類などが必要で、郵送やオンラインでの申請を検討している。
 具体的な手続き方法は決まり次第、同省のホームページなどで公表する。問い合わせはコールセンター=電03(5638)5855(平日午前九時~午後六時半)=へ。

◆休校への休業補償 企業の導入前提

 小学校などの休校が続く中、子どもの面倒を見るために仕事ができなくなる保護者も多い。子どもが感染するケースも全国で相次いでいる。国が新たに設けた小学校休業等対応助成金・支援金は、小学校などが休校になったり、新型コロナの感染が疑われる症状が出た子どもを休ませたりした保護者を対象にした休業補償制度だ。当初は三月末までの休みを対象としていたが、事態の長期化を受け、六月末まで延長した。
 年次有給休暇とは別に特別な有休を取得させた企業に対し、一人当たり日額八千三百三十円を上限に助成。フリーランスなど個人で業務委託を受けて働く人には、一律で日額四千百円を補償する。
 ただ、雇われている人の場合、勤務先が制度を取り入れることが前提。労働相談の窓口には、制度を利用させてもらえないとの相談も寄せられている。

◆生活福祉資金貸付 対象や金額拡大

消毒液が置かれた相談窓口=名古屋市北区の同市社会福祉協議会で

 収入が減り一時的に生活費に困ったら、各都道府県の社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」を活用できる。従来、低所得世帯や高齢者世帯を対象としてきたが、新型コロナウイルスの影響拡大を受け、特例的に対象や返済の猶予期間を広げた。
 その一つが、緊急小口資金。貸し付け上限をこれまでの倍の最大二十万円にし、無利子で借りられる。
 もう一つが、失業などで生活の立て直しが必要な世帯を対象とした総合支援資金。二人以上の世帯は月二十万円以内、単身は月十五万円以内の無利子貸し付けを原則とし三カ月まで受けられる。
 いずれも収入額などの線引きはなく、保証人も不要だ。返済が猶予される「据置期間」はいずれも一年以内で、返済開始から終了までの「償還期限」は緊急小口資金が二年以内、総合支援資金が十年以内。返済時に所得が減り続けている住民税非課税世帯は、返済を免除される場合もある。
 申請窓口は市区町村の社協で、三月二十五日から受け付けを開始。申請が相次いでおり、厚生労働省によると、緊急小口資金の申請件数は四日時点で約一万八千九百件に上る。

◆住居確保給付金 家賃額を補助

 離職や廃業で家を失った人や、失う恐れがある人の就労支援のために家賃を支給する制度が、生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金だ。本来は職を失った人を対象としていたが、国の緊急経済対策の一環で今月二十日から対象者を拡大。離職や廃業に至っていなくても、休業などによる収入減で生活に困窮し、住居を失う恐れがあれば対象となる。
 支給の可否は、ハローワークへの求職申し込みの有無や世帯収入、預貯金額などで決まる。世帯収入の基準や支給額は自治体によって異なる。
 例えば、名古屋市の場合、支給額の上限は単身世帯が三万七千円、二人世帯は四万四千円、東京二十三区は原則、単身世帯が五万三千七百円、二人世帯が六万四千円など。
 支給期間は原則として三カ月だが、最長で九カ月まで延長できる。
      ◇
 新型コロナウイルスの感染拡大による休業や失業のように、働く人が困ったときにどのようなセーフティーネットがあるのか。

◆休業手当 会社の指示確認

 勤務先の店舗が休業するなどして、会社から休むように命じられたケースでは、労働基準法が定める休業手当を受けられる可能性がある。本来の出勤日に会社の都合で休業を命じられた場合、従業員は平均賃金の60%以上の支給を受ける権利があり、会社は支払い義務を負う。
 名古屋市の社会保険労務士の木村省吾さん(53)によると、会社の指示なのかどうかがあいまいな場合は後で紛争に発展しかねないといい、「会社と従業員の双方で明確にしておく必要がある」と話す。
 一方、「不可抗力」による休業には、会社は休業手当を支払う義務はない。では、緊急事態宣言などで事業がストップした場合は不可抗力に当たるのか。
 厚生労働省は、休業の原因が外部から発生したとしても、在宅勤務など業務に就かせる方法を十分に検討したり、ほかの業務を探したりといった具体的な努力を尽くしていなければ、不可抗力による休業には当たらないとの見解。会社の判断に納得がいかなければ、労働基準監督署に相談を。
 発熱やせきなど、新型コロナが疑われる症状が出て、会社を休むこともある。会社から休みを指示されれば休業手当の対象になり得るが、感染していた場合、都道府県知事の就業制限による休業となるため、休業手当の対象外になる。

◆傷病手当金 業務以外が対象

 感染の有無にかかわらず利用できるのが、健康保険の傷病手当金だ。業務以外の病気、けがで連続して三日間休むと、四日目以降の休みから標準報酬日額(月給の日額)の三分の二が支給される。
 業務中の病気、けがで休むと労災保険の対象になり、平均賃金のおよそ80%の休業補償が支給される。新型コロナに関しては「医療関係者など業務中の感染が分かれば、対象になり得る」と木村さんは話す。
 失業した場合、就職活動をしている間、離職前の賃金のおよそ45~80%の失業給付を受けられる。給付日数は年齢や雇用保険の加入期間、離職の理由などで九十~三百六十日の間で決められるが、解雇や更新して三年以上勤務後の雇い止めの場合、給付日数の増加などが見込める。
 木村さんは「状況に応じて活用できる制度を知っておけば、いざというときに役立つ」と話す。

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