渋川で全国唯一 舟形硯を初公開 20年以上前、伊勢崎の遺跡で出土 平安初期の品か

2021年7月19日 07時41分

初公開している全国唯一の舟形硯(手前)、後ろは破片からの復元品=いずれも渋川市で

 伊勢崎市三和町の舞台遺跡で二十年以上前に全国で初めて出土した古代の舟形硯(すずり)が、渋川市北橘町の県埋蔵文化財調査事業団発掘情報館で初公開されている。古代に硯を使ったのは役人や僧などの知識層。同遺跡近くには古代の郡役所、国指定史跡「上野国佐位郡正倉跡」や廃寺跡があり、事業団は「硯は国史跡や周辺との関連が想定できる特殊な出土品」とみている。(菅原洋)
 舟形硯は古代の硯などを並べた第1期展示「出土した文房具」に合わせて公開している。
 現在でも全国唯一の舟形硯は、北関東自動車道の工事に伴う一九九五〜二〇〇〇年度の発掘調査で出土。三、四片に割れた状態で見つかり、ほぼ全体が残存していた。時代は平安初期(九世紀前半)とみられる。
 長さ約十二センチ、最大の幅約八センチ、最大の高さ約四センチ。上から見るとほぼ二等辺三角形で、二等辺の先端が船首のような形をしており、全体の形状が古代の木製の舟に似ているという。
 二等辺の先端から全体の約三分の一にかけての部分がへこみ、そこに墨をためたとみられ、硯と判断した。材質は須恵器製。出土した地点の近くから須恵器の窯跡や、別の舟形硯の破片一点も見つかった。舞台遺跡から南へ約二キロに上野国佐位郡正倉跡がある。
 展示では、太田市只上(ただかり)町の矢部遺跡で〇五年に出土した墨片も並ぶ。奈良時代後期(八世紀後半)とみられる腰帯の金具に挟んであった。墨片がこうした状態で発見されたのは全国で初めて。古代の墨片は県内で唯一の出土でもある。今回の展示で初公開している。
 墨片は厚さ約四ミリの板状。金具は古代の役人が行事などで身に着けた腰帯の装飾品。役人が金具に墨片を挟み、子どもの成長と立身出世などを願った風習の可能性があるという。
 会場では、古代の須恵器製硯を中心に紙や木簡など含め計約百十点を紹介する。事業団の神谷佳明専門調査役は「現代の硯は主に石製の長方形だが、古代の硯は陶器製で、円など多様な形があることも見てほしい」と来館を呼び掛けている。展示は十月十七日までの予定。観覧無料。原則土曜と祝日休館。

古代の硯などを見学する人々


関連キーワード

PR情報

群馬の新着

記事一覧