<五輪リスク>大規模災害時の海外選手ら避難先 「時間切れ」「起きないで」 組織委から協力依頼なく

2021年7月19日 07時42分

自転車トラック、マウンテンバイク競技の会場へのバスが発着する伊豆箱根鉄道修善寺駅。災害発生時は観客らの避難場所として近くの高校を活用する=伊豆市で

 東京五輪・パラリンピック期間中に大規模地震や風水害が発生した際、静岡県内に宿泊する海外選手やメディアの避難先は−。県や市町によると「大会組織委員会が調整する」という。だが組織委から地元への協力依頼や相談はまだない。熱海市の土石流災害で避難の重要性が再認識される中、選手らの避難ルールが不透明なまま、五輪は開幕を迎える。(渡辺陽太郎)
 県によると大会期間前後、選手村分村(伊豆市)の他に、七市町の三十九施設に最大三千七百七十四人(五月末時点)が宿泊する。新型コロナウイルスの感染防止対策や関係者の行動管理は組織委が担う。県には押さえた部屋数のみ報告され、実際の宿泊者数は明かされていない。
 災害が発生した場合、帰宅困難となった観客の避難は地元市町が担う。コロナ禍での避難所運営は感染拡大後、国や県の補助金も活用して進めてきた。だが海外選手やメディアは想定していない。これらの人は市民との接触を避ける「バブル」の中にいる想定だ。人命優先のため、バブルの外に出る場面は予想されるが、県や市町に、組織委からの受け入れ要請などはないという。
 伊豆の国市には二カ国の自転車チームや海外メディアが宿泊。河川氾濫などがあった場合、宿泊先が浸水する恐れもあるが、市にはメディアの人数は知らされていない。市危機管理課の担当者は「関係者の人数が分からないと、対応を検討できない。すでにもう時間切れだ。ぶっつけ本番になる」と戸惑う。ある自治体の担当者は「優先するべきは、バブルではなく人命だが、基本的な情報がない。起きないでと祈るしかない」と話した。
 伊豆市は独自に競技会場へのバスが発着する伊豆箱根鉄道修善寺駅近くの県立高校の体育館を、観客の避難先として、市民とは別に確保。限りはあるが、一定数の選手らの受け入れも可能としている。菊地豊市長は一義的な責任は組織委にあるとしながら「何が起こるか分からない。駅周辺の安全確保への準備はしておく」と話した。
 組織委は、選手らが市町の避難所を使う可能性があるか、というメールによる本紙の質問に「各自治体と緊急時対応について相談している。連携しながらの対応を予定している」と回答。相談はないという県と七市町の見解と食い違っていた。選手らの避難所の利用の有無は再質問したが、十八日現在、回答はない。

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