湯ったり入浴、介護予防 痛み和らぎ動きやすく

2020年3月31日 02時00分
 まだ肌寒いこの時季。新型コロナウイルスの影響で家にいる時間も増える中、簡単にできるリフレッシュ法の一つが入浴だ。最新の研究によると、毎日湯船に漬かることは介護リスクを減らす効果もあるという。お薦めの入浴法と注意点を専門医に聞いた。 (植木創太)
 「日本人が経験的に伝えてきた入浴の効果は、医学的にも正しい」。そう話すのは、温泉療法専門医で東京都市大教授の早坂信哉さん(51)だ。入浴について二十年以上にわたり研究し、「最高の入浴法」(大和書房)など著書も多い。
 湯船で体が温まると、血管が広がって血流が活発になる。水圧で体が締め付けられることも血流の改善を促す。血流が良くなれば酸素や栄養分が全身に行き渡り、体内の老廃物が回収されやすい状態に。たまった老廃物が神経を刺激するなどして発生する痛みの原因物質がつくられにくくなる。さらに体がリラックスすることで、痛みを脳に伝える電気信号に過敏になっていた神経の働きが通常に近づき、肩凝りや関節痛などの慢性的な痛みが和らぐ。全身に湯が広がり皮膚表面の有害物質や不要な皮脂が取り除かれるため肌を清潔に保つ効果も大きい。
 千葉大や国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)などの研究グループは二〇一〇年から、要介護認定を受けていない六十五歳以上の高齢者一万四千人に追跡調査を実施。その後の三年間で認定を受けた人の割合を調べたところ、夏の入浴が「週七回以上」の人は「週ゼロ~二回」の人より約三割少なかった。この研究に携わった早坂さんは、痛みが和らいで体を動かしやすくなることによる転倒の減少、睡眠の質の上昇などが影響したと分析する。
 早坂さんのお薦めの入浴法は「湯の温度は四〇度以下、時間は十分程度」だ。熱すぎるとのぼせたり、急激な温度変化が「ヒートショック」を引き起こしたりする。低血圧や脳梗塞を招く恐れがある脱水を防ぐため、入浴前後はミネラルを多く含む麦茶などを飲んで水分を補うことも大事だ。
 日本温泉気候物理医学会、日本法医学会、日本救急医学会が一四年三月にまとめた共同研究によると、熱中症やヒートショックなど入浴に関わる事故で亡くなる人は年間一万九千人に上る。その多くは高齢者だ。早坂さんは「特に高血圧の人は、入り方を考えた方がいい」と話す。降圧剤の服用などで普段から血圧をコントロールすることが大事だ。また、入浴前の計測で最高血圧が一六〇ミリHg、または最低血圧が一〇〇ミリHg以上なら、時間をおいて、ぬるめの湯に入るのが無難という。
 入浴で体温を上げれば基礎代謝が上がり、免疫力も向上する。早坂さんは「正しく入れば安価で手軽な健康法。注意点を意識しながら実践を」と呼び掛ける。

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