<どうなる格差 同一労働同一賃金>非正規雇用 来月新ルール

2020年3月30日 02時00分

不合理な待遇格差の禁止を訴える厚生労働省のチラシ=名古屋市内で

 非正社員と正社員の間に存在する基本給や賞与、手当といった不合理な待遇格差を禁止する「同一労働同一賃金」が四月一日から、大企業に適用される。基になっているのは、同じ仕事をする人には、同じ賃金を支払うべきだという考え方だ。中小企業への適用は来年四月から。待遇に差がある場合、雇用主はその理由を説明しなければならなくなる。 (佐橋大)
 日本の労働者に占める非正規労働者の割合は四割ほど。同一労働同一賃金ルールの対象となるのは、パートと有期雇用、派遣の労働者だ。「パートタイム・有期雇用労働法」や「改正労働者派遣法」は、職務内容や責任、転勤の取り扱いなどが正社員と同じなら、基本給や手当、休暇、福利厚生も同じように処遇するよう義務付けた。
 東海地方の派遣社員の四十代女性は二月下旬、「四月以降も時給は同じ」と会社から告げられた。パート、有期と違い、勤務先が変わる機会の多い派遣社員の場合、賃金の決め方は二つ。一つは派遣元が派遣先の企業に待遇を合わせるやり方。ただ、派遣先からいちいち情報を提供してもらわなければならず、手間がかかる。そこで、ほとんどの会社が採用するとみられるのが、派遣元の雇用主と労働者の間で協定を結ぶ方法だ。基準になるのは、能力や経験を反映した職種ごとの金額に地域の賃金水準を加味した数字で、厚生労働省が示している。
 女性の会社も労使で協定が結ばれた。会社は女性に「既に厚労省が設定した金額より高い」と待遇が変わらない理由を説明した。自分が思うほどキャリアが評価されておらず、待遇の大幅な改善は望めないことに「何のための法改正か」と思ったという。
 全国社会保険労務士会連合会働き方改革関連法対応部会部会長で、社会保険労務士法人名南経営(名古屋市)代表社員、大津章敬(あきのり)さん(48)によると、賃金を含め労働者が待遇に納得できないと訴えた場合、会社は四月以降、根拠を説明しないといけない。例えば「非正規だからというだけで、正社員に支給される通勤手当がない」といった説明がつかない待遇差は法の禁じる「不合理な待遇格差」と判断される可能性がある。
 改善が進まない場合、労使間の協議を促す仕組みはあるが罰則はない。話し合いが不調なら裁判での解決が想定される。ただ、どこからどこまでが合理的で、どこからが不合理な格差に当たるかの線引きはあいまいだ。派遣社員の給与も、厚労省の示す金額より高ければ「格差なし」とみなされる可能性がある。賞与や退職金の格差を巡る訴訟では最高裁の判決が出ていない事項も多い。大津さんによると「企業の労務担当者は迷うことだらけ」だ。
 一方、公務員を巡っては四十七都道府県が新年度から、一部の非正規職員に対し、賞与に当たる期末手当を支給することを決めている。支給水準は正規職員と同等とする都道府県が多く、こうした流れも民間に影響しそうという。大津さんは「罰則がないからといって是正を怠れば、他社に比べて待遇が見劣りし、人材確保が困難になる。結局は企業が不利益を被る」と注意を呼び掛ける。

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