<新型コロナ>品薄の連鎖 消毒綿にも 「消毒液代わり」糖尿病患者ら困惑

2020年3月28日 02時00分

血糖値測定の採血前に指先を消毒綿で消毒する女性=埼玉県狭山市で

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、品薄状態が続く衛生用品。マスクやトイレットペーパーに続き、あまりなじみのない消毒綿や医療用アルコール綿にも影響が及びだした。自宅などで医療的ケアをする人には、注射や医療器具の消毒に欠かせない医療用品。手指の消毒に使うアルコール消毒液が品薄となり、いわば「玉突き」で品不足に。店頭で入手が困難になった患者は「この状態がこのまま続き、消毒なしで注射するようになったら不安」と困惑の声が上がる。 (添田隆典)
 二月末、消毒綿を買おうとした埼玉県狭山市の主婦の女性(31)は、近所の薬局がどこも品切れで、がくぜんとした。女性は糖尿病治療で毎日計六~十回、自宅でインスリン注射と、採血による血糖値測定を行っている。その際、針を刺す腹部や、採血する指先の殺菌に消毒綿は欠かせない。「消毒液や除菌用ウエットティッシュが手に入らなかった客が代わりに買った。次回の入荷も未定」と店員から言われた。
 消毒綿は、脱脂綿にアルコールなどの消毒成分を含ませたもの。手のひらに収まる大きさで、注射や手指の消毒にピッタリ。六十枚入りを五百円弱で販売する店も。薬物治療中の関節リウマチ患者の自己注射や、不妊治療時の排卵誘発剤の自己注射の際にも使う。
 女性はかかりつけの病院に頼んで購入したり、SNSで窮状を訴えたりして一カ月分の消毒綿をどうにか確保した。だが、その後は確実に入手できる保証はない。「ストックが尽きたら、どう消毒すればいいのか」と不安を口にする。
 ただ「消毒綿がなくても注射をやめてはいけない」と、永寿総合病院(東京)の糖尿病臨床研究センター長で医師の渥美義仁さんは指摘する。皮膚の表面には雑菌が入るのを防ぐバリアー機能が備わっているからというのが理由だ。
 渥美さんは「指先から採血をする際は、せっけんで手をよく洗い、きれいなタオルで拭けば消毒綿なしでも大丈夫。また、入浴で肌を清潔にする習慣があれば、注射時に消毒しなくても問題ない。心配なら主治医に確認を」と話す。
 消毒綿の用途には医療器具の消毒もある。高齢者がぼうこうにたまった尿を人工的に排出したり、医療的ケアが必要な子どものたんの吸引に使ったりするカテーテル(管)などだ。宇都宮市の薬局には、人工ぼうこうを装着している患者の家族から「カテーテルを消毒しないと、挿入時に雑菌が体内に入らないか不安」と相談があったという。
 医療器具の消毒には代替手段がないという。東京都感染症情報センターの担当者は「医療器具に付着する汚れが異なるため、必要な消毒剤も違う。代替品が一律にあるとは考えにくい」と話す。日本訪問看護財団(東京)の佐藤美穂子常務理事も「病院に頼んで一時的に使い捨ての器具を処方してもらう必要も出てくる。まずは主治医に相談してほしい」と話す。
 メーカーの川本産業や白十字によると、突然の需要増で生産が追い付かず、出荷がいつ安定するか見通しは立たないという。佐藤常務理事は「医療器具が消毒できないと命にも関わる。きちんと行き渡るよう、一般の消費者には配慮をお願いしたい」と要望している。

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