横浜・都筑 傾いたマンション、建て替え終え住民戻る 「ようやく元の生活に」 15年発覚 「待てない…転居4割」

2021年7月20日 06時55分

建て替えが終わったマンション=横浜市都筑区で

 横浜市都筑区で大手不動産開発会社が建設・分譲したマンションが2015年、くいの施工不良で傾いていることが分かった問題で、全4棟の建て替えが完了し、6月末までに住民の「帰還」が完了した。建て替えを決めた当時、管理組合の理事だった住民2人が本紙の取材に応じ、「ようやく元の生活に戻れる」などと思いを語った。(志村彰太)
 マンションは七百五戸あり、〇七年に完成。一五年十月、くいの一部が強固な地盤に届いていないことが分かり、一六年にマンション建て替え円滑化法に基づき建て替えを決議した。住民は、同社が県内や東京都内に借り上げた住宅で仮住まいをしていた。
 当初見込まれた完成時期は二〇年秋。「工期が早まって、みんなで五輪を観戦できたらいいね、と話していた」と、住民の太田哲次さん(71)は振り返る。工期は遅れて完成は今年二月にずれ込んだが、新型コロナウイルスの影響で五輪も延期され、「あの時の思いが現実になった。でも、感染状況を考えると集まるのは難しいかな」と話す。
 決議で反対したのは二戸のみで、「意思決定が難しい大規模マンションの建て替えでは珍しい事例」と言われた。太田さんは「日ごろから、マンション内で祭りや交流会を開いて意思疎通をスムーズにしていたので、まとまることができた」と語る。
 「仮住まいはタワーマンションで何となく落ち着かなかった。やっと『家』に帰ってきたという思い」と、別の男性住民(51)は深呼吸する。四年半の間に子どもが独立して引っ越し、家の中は広く感じるが、近隣住民と顔を合わせて「久しぶり」などと声を掛け合う毎日に充足感を得ている。
 ただ、一度壊れたコミュニティーを再建するのは容易ではない。七百五戸のうち戻ってきたのは六割ほどで、残りは「建て替えに五年も待てない」などの理由から転居した。新しい住民を受け入れるため、これから分譲が始まるという。
 二人は「これからまた、七百五戸でつながりをつくっていく。新しい人にも境目なくコミュニティーに入ってもらい、住みやすいマンションにしていきたい」と声をそろえた。

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