汗と流れて鉄分不足 夏の貧血 スポーツにも注意

2021年7月20日 07時41分
 いよいよ夏本番。気温が高くなると、だるさや立ちくらみ、動悸(どうき)などの不調を訴える人は多い。夏バテかと思いがちだが、鉄分の不足による貧血かもしれない。夏は、汗と一緒に鉄分が流れ出やすくなるためだ。貧血は体の隅々にまで酸素が行き渡らなくなった状態で、進行すれば心臓に負担がかかる恐れもある。食事でしっかり鉄分を取って予防したい。 (細川暁子)
 名古屋市内の女性(49)は昨年七月、会社の健康診断で貧血を指摘された。内科での血液検査の結果、体内に酸素を届けるヘモグロビンの値は血液百ミリリットル(一デシリットル)当たり九グラム。日本人間ドック学会が定める女性の基準値一二・一〜一四・五グラムを下回り、治療が必要とされた。
 赤血球中のヘモグロビンをつくる材料が鉄。貧血のほとんどは鉄分不足による鉄欠乏性貧血だ。ヘモグロビンがうまくつくられず、届けられる酸素が減ると、だるさや息切れ、めまい、立ちくらみなどさまざまな症状が出る。酸素量を増やすため、より多くの血液を送り出そうと心臓の負担が増し、心不全につながるリスクもあって放置は禁物だ。軽度なら食生活の見直しで対応できるが、女性の場合はヘモグロビン値が一一以下、基準値が一三・一〜一六・三の男性は一二以下が鉄剤服用の目安となる。
 女性は毎日鉄剤をのみ、今は一三に改善。血液中の鉄が不足した時に備え、蓄えられている貯蔵鉄量を示すフェリチンの値も基準範囲まで高まった。悩んでいた頭痛も減ったという。
 日本人女性の五人に一人は鉄欠乏性貧血とされる。「佐藤あつしクリニック」(名古屋市)院長で血液内科医の佐藤温さん(53)によると、女性に目立つのは月経による出血で鉄分が体外に出るためだ。特に一回の経血量が増えるなど生理が不順になる閉経前の四十代後半の患者が多いという。
 鉄欠乏性貧血はゆっくり進み、自覚症状が乏しい例が少なくない。そのため健診で指摘されても受診しない人がいるが、佐藤さんは「大きな病気が隠れている恐れもある」と警告する。胃がんや大腸がん、子宮がんなどがあると、がんができた部位から出血している場合があるためだ。「男女問わず、必ず原因を病院で調べて」と力を込める。
 もう一つ、気を付けたいのが、激しい運動で起きるスポーツ貧血だ。日本医師会常任理事で内科医の羽鳥裕さん(72)によると、足のかかとを打ち付けるマラソンや剣道などの選手には貧血が多い。足裏への強い衝撃で赤血球が壊れ、飛び出たヘモグロビンが、尿などから体外に出てしまうからだ。貧血に似た症状があれば、すぐに受診したい。

◆お薦めは大豆 鉄鍋使用も摂取量増

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」が、生理のある成人女性に推奨する一日当たりの鉄分摂取量は、一〇・五〜一一・〇ミリグラム。だが、二〇一九年の国民健康・栄養調査によると、平均は七・六ミリグラムだった。
 発汗が増える一方で、食欲が落ちる夏は意識して取りたいが、大妻女子大家政学部教授の川口美喜子さん(64)によると、鉄分は体に吸収されにくい。赤身肉やレバー、カツオ、アサリなどの動物性食品に多く含まれるヘム鉄の吸収率は20〜30%。ホウレンソウやコマツナなどの植物性食品の非ヘム鉄は2〜5%だ。
 そのため、毎食時、ヘム鉄、非ヘム鉄を多く含む食品を複数組み合わせて食べることが大事という。川口さんのお薦めは大豆だ。納豆や豆腐、きなこなど種類が豊富で、鉄分が多い他の食材とも合わせやすい。鉄鍋の使用も、鉄分が溶け出して摂取量が増える。

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