新型コロナ撃退!音頭 日本のレガシー 世界へ響け ラテン系音楽グループ・サボテンブラザーズ

2021年7月21日 07時06分

大手町のワクチン大規模接種センターの前で音頭を披露するサボテンブラザーズ

 梅雨が明け夏本番。海へ山へと繰り出したい時期だがコロナ禍は続いており、レジャーもままならない。それなら季節の盆踊りで疫病退散を−と考案した曲と踊りを広めている人がいる。その踊りは「新型コロナ撃退音頭」。海外に発信する計画もあるという。このクールジャパンは世界を救えるのか。
 「踊ってみせてほしい? やるなら(大手町のワクチン)大規模接種センター前で、どうでしょうか」
 依頼に快く応じてくれたのは作詞・作曲したフリオ川本さん=芸名(年齢非公表)。普段は三人組ラテン系音楽グループ「サボテンブラザーズ」として主に東京で活動する。サビの部分はこうだ。
 ♪マスク 手洗い ディスタンス〜 離れて 離れて ディスタンス〜♪
 振り付けはシンプル。「マスク」のパートは口を両手で押さえ、「手洗い」は手のひらをこすり合わせる。「ディスタンス(距離)」は人を遠ざけるように両手で空気を押し出す。

マスク(マーシー柳本さん)

 感染が収まらない現状を川本さんは嘆く。「コロナで日本も世界も悲惨な状況が続いている。笑顔が減っていて、収束しないと何も始まらない。特効薬もなく、政治も当てにできない」。故郷の山口県岩国市や広島県の宮島などで観光大使も務めるブラザーズだが、イベントは「ほぼ全て中止になった」という。
 音頭は今春、都内の公園を散歩中に構想が降りてきたという。「残る道は苦しい時の神頼みだと。音楽家なので音楽で神様にお願いする手段として考えたのが盆踊り。元来、盆踊りは五穀豊穣(ほうじょう)を祈り、ご先祖様の慰霊の意味もある。日本文化で世界のコロナの収束祈願を、と作ってみたんです」

手洗い(フリオ川本さん)

 川本さんは米国で音楽を学んだことがある。密にならない広大な土地で、マスクの習慣がなかった。翻って日本人は密が当たり前。距離を取る感覚に疎い。また世界には手を頻繁に洗う習慣がない人もいる。「マスク、手洗い、ディスタンスの三つを徹底できる人は意外と多くないのではないか。セットで呼び掛けることが有効」と世界に発信する意義を感じたという。
 四月にはメロディーと歌詞を完成させた。世界進出への起爆剤にと東京五輪・パラリンピックの応援プログラムに申請し、認可された。ただ政府関係者からは「面白過ぎて政府として使うのは難しいかも」と言われたそうだ。

ディスタンス(ドミンゴ安原さん)

 公開を巡っても停滞を強いられた。完成から間もない四月下旬、東京などに三度目の緊急事態宣言が発令。イベント会場などで披露する機会は消え、いったん公開を見合わせた。次の手を考えるうちに、動画を流す予定だった五輪観戦のパブリックビューイングも次々と中止が決まった。
 この間、無駄ばかりではない。世界に発信するため英語やスペイン語に翻訳。さらにハワイアンのフラダンス調や、R&B調、日本舞踊、猿回しのサルに踊らせるパターンなどを仲間が作ってくれた。イベントでの披露は依然難しいため、今月からユーチューブで順次、公開することにした。
 一九八〇年代、マイケル・ジャクソンら海外のスーパースターがアフリカ救済のチャリティーソング「ウィー・アー・ザ・ワールド」などを通じて世界の課題解決を試みた。川本さんは言う。「日本人は、そういうことは外国人がやるものだと思っている。でも、日本発祥の盆踊りでもできるのではないか」
 最後に大規模接種センター前で訴えた。「ワクチンが万能かまだわからない。(収束へ)やれることは全部やっていきましょう」
文・井上靖史/写真・市川和宏
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