新型コロナ 特性知り「正しく恐れる」

2020年3月3日 02時00分

◆感染を巡る差別やいじめ危惧

 「真偽が分からない情報に追われ、パニックになってはいけない」。長年にわたり地域医療に携わる諏訪中央病院(長野県茅野市)名誉院長で、内科医の鎌田実さん(71)は「正しく恐れることが重要」と訴える。
 首相の要請を受け、2日から全国で多くの小中学校、高校などが臨時休校となった。大人でも不安になる中、鎌田さんが心配するのは、友達や先生に突然会えなくなった子どもたちの精神的ショックだ。「親がイライラしていると、子どもは余計にストレスをため込む。こういう時こそ冷静になることが求められる」と話す。
 まず大事なのは、どんな病気であっても特性を理解することだ。新型コロナに関しても世界保健機関(WHO)などが情報を出している。例えば、風邪。「風邪に効く抗生物質はない」と鎌田さん。「症状があるから」と受診すれば、院内で新型コロナを含め別のウイルスに感染する恐れもあり「自宅での安静が基本」と強調する。
 新型肺炎に関わる動きの中で、もう一つ、鎌田さんが危惧するのは、感染を巡る差別やいじめだ。
 鎌田さんは「医療従事者が差別される状況になれば医療は崩壊する」と断言する。患者が差別を恐れて感染を隠すことがあれば、さらに拡大の危険が増す。「誰もが感染する可能性がある今、感染したことを非難する言動は絶対にしてはいけない」と語気を強める。
 ニュースも新型コロナ一色で社会が騒然とする中、鎌田さんは「ストレスは免疫力を低下させるという論文もある」と指摘。電話を使って人と話す機会を多くつくるなど、心を落ち着かせるよう促す。

◆誤情報に飛び付き拡散しない

 新型コロナのような未知の病気に直面した時こそ、正しい情報を入手して活用するヘルスリテラシーが不可欠だ。だが、聖路加国際大看護情報学分野の中山和弘教授は「日本人のヘルスリテラシーは他国より低い傾向にある」と指摘する。
 中山教授は2014年、ドイツなど欧州8カ国の大学が作った47の質問項目を使い、20~69歳の日本人1054人に調査を実施。「治療に関する情報を見つける」「医師の説明を理解する」などについて4段階で難易度を尋ねたところ、「やや難しい」「とても難しい」と答えた人の割合が全項目で欧州平均を上回った。中でもインターネットを含むメディア情報が信頼できるかを判断することについては73.2%が「難しい」ととらえ、欧州の49.7%を大幅に上回った。
 日本人のヘルスリテラシーが低い理由として、中山教授は欧州に比べて学校で体や健康について学ぶ機会が少ないことを挙げる。新型肺炎を巡り、ネット上には、さまざまな情報があふれ、不安につけこむ詐欺も横行している。「マスクを無料送付。確認お願いします」「費用を肩代わりするので検査を受けるように」などの文章をメールなどで送り付け、個人情報を盗み取ろうとする手口に対し、厚生労働省などが注意を呼び掛けている。
 中山教授が情報の正しさを見極める上で提案するのが「か・ち(価値)・も・な・い」の合言葉だ。「出典がない情報はあてにならないと心得て、誤った情報に飛び付いたり拡散したりしないことが重要」

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