精神・発達障害のある性的少数者 就活「困難」に寄り添う 東京のNPO福祉事業所開設へ

2021年7月21日 07時17分
 LGBTなどの性的少数者の中には、精神障害や発達障害がある人もいる。就職活動や職場で性のあり方について理解が得られず、心を病む人も少なくないようだ。多様な人たちが安心して働けるよう、LGBTと障害の両方に対応できる就労支援の場を設ける動きも出てきた。 (佐橋大)
 「職場でゲイを暴露され、うつになって退職した。再就職を考えているが、安心して働ける職場があるのか心配」「中学でオカマといじめられて不登校になり、今は引きこもり状態。トランスジェンダーで発達障害のある自分はどこにも採用されないのでは」…。二〇一三年からLGBTのキャリア支援などに取り組む認定NPO法人「ReBit(リビット)」(東京)には、障害のある性的少数者からも多くの相談が寄せられている。
 多様な性への理解が進まない社会では、性的少数者は大きなストレスを抱え心の健康を損ないやすい。認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」(大阪市)などが一五年、約二千人を対象に行った「LGBTに関する職場環境アンケート」では、同性愛者と両性愛者の25・2%、トランスジェンダーの35・3%が就職後にうつを経験したと回答。LGBT以外の人は16%で、性的少数者の精神疾患リスクの高さが浮かび上がった。
 障害がありながらの就職活動では、さらなる困難に直面することも。リビットが五月、精神・発達障害のある性的少数者二百六十人に聞いた調査では、企業の面接など選考時に、82・9%が「障害」に関する困難、66・3%が「性のあり方」に関する困難を感じたと回答した。リビット代表理事の薬師実芳さん(31)は「障害だけでなく、履歴書の性別をどう書くか、服装をどうすべきかといった性のあり方に関わることも重なり合って悩みの種になる」と指摘する。
 一方で、障害者向けの就労移行支援事業所などで、そうした悩みを相談した経験のある人は約二割にとどまった。「支援員の何げない一言で『理解してもらえない』と思い、相談できなかったとの声があった」と薬師さん。「身だしなみで男女別の細かいルールを記した資料が配られ、つらい」などの自由回答も見られ、「多様な性にも配慮した障害福祉サービスが求められている」と強調する。
 リビットは、精神・発達障害のある性的少数者らを対象にした就労移行支援事業所「ダイバーシティキャリア」を八月に東京・新宿に開く予定だ。専門の相談員を配置し、多様な性にまつわる困難や悩みにもきめ細かく対応しながら就職を支援。利用者は週に何日か通い、面接の練習をしたり、職業訓練をしたりする。多様性に理解のある企業や、同じような境遇で既に働いている人との交流も通じて、働くことへの自信を深めてもらう。
 開設に向けて二十八日まで、ホームページでクラウドファンディングで寄付を募っている。目標額は三百万円で、初年度の設備投資や運営費に活用。二年目以降は利用者の増加により黒字となる見込みで、リビットには全国から同様の事業所を望む声も届いているという。薬師さんは「新宿の事業所のノウハウが生かされ、全国すべての就労支援の事業所が、性的少数者も安心して利用できるようになるといい」と話す。

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