広がる新型コロナ どう対応? 自宅で冷静に症状注視を

2020年3月3日 02時00分
 新型コロナウイルスの感染が拡大し、終息の気配が見えない。安倍晋三首相が全国の小中学校、高校などに春休みまでの臨時休校を要請するなど不安が募るばかりだが、専門家は「みんながパニックに陥れば、医療や社会が崩壊する」と警鐘を鳴らす。今こそ、健康に関する正しい情報を入手して活用する力「ヘルスリテラシー」を高め、冷静に行動することが重要だ。 (小中寿美、細川暁子)
 政府が二月末にまとめた基本方針は、風邪の症状がある場合は外出を控え、むやみに受診しないよう呼び掛ける。相談・受診の主な目安は、高齢者や基礎疾患がある人ら重症化のリスクが高い人は三七・五度以上の発熱など風邪の症状が二日程度、一般の人で四日以上だ=表(上)。
 ただ、その間、自宅で様子を見るだけで大丈夫なのか。感染症専門医で、マイファミリークリニック蒲郡(愛知県蒲郡市)院長の中山久仁子さんは、七万人を超える症例を分析した中国の論文などを根拠に「感染者の八割は軽症で、特に治療をしなくても一週間ほどで治る」と説明する。
 進行も比較的緩やかだ。国の対策づくりに関わった沖縄県立中部病院感染症内科の高山義浩さんが作成した図(下)によると、感染者がたどる経過は二つのパターンに分けられる。一つは、普通なら二~三日で終わる発熱やせきなどの風邪症状が一週間ほど続いて治るパターン。患者の大半はこれにあてはまる。もう一つは、風邪症状が一週間くらい続いて、強いだるさなどが出てくるパターンだ。
 中山さんは「初期は普通の風邪か、インフルエンザか、または新型コロナかを見分けることはできない」と指摘。その上で「インフルのような抗ウイルス薬もない中では、自宅安静が一番」と話す。市販の風邪薬を飲んでもいい。ただ朝夕二回の検温など症状を注視することは必要だ。急な高熱や体の痛みなどインフルを疑う場合は「医療機関に相談の上、受診して」と言う。特に子どもは要注意だ。
 風邪症状が受診の目安を満たすか、息苦しさや強いだるさがある時は、新型コロナ感染の可能性があるため、帰国者・接触者相談センターに連絡する。肺炎が疑われる場合は胸部画像診断や血液検査などが行われる。その結果、ウイルスが原因の可能性があり、入院が必要なほど重症と判断されて初めてウイルスを検出するためのPCR検査が実施される。この流れを踏まえれば、早い検査が治療や回復につながるものではないと分かるはずだ。
 検査態勢に限界があることに加え、新型コロナはインフルと比べて感染者のウイルス量が極度に少なく、検出や判定が難しいことも明らかになっている。検査はこれまで、陽性者を見つけて隔離するのが目的だったが、感染経路が追えない患者が出てきて封じ込めが難しくなりつつある現時点では、重症者を見つけることが重視され始めている。
 「重症例や死亡者を減らすには、地域で感染者を増やさないことが大切」と中山さん。感染力が強いのは発症から三~四日目といわれ、無症状の人からの感染を示唆する例も国外では報告されている。中山さんは「軽い風邪症状でも『自分が感染源になるかも』という危機意識を持って行動してほしい」と訴えている。

関連キーワード

PR情報