閉所の福祉作業所が再開 職員が奔走、当面無償で借りられ 熱海駅近くのビルの一室 

2021年7月21日 08時13分

手作業で古傘を丁寧に解体する「心象めぐみ会」の通所者たち=熱海市田原本町の熱海第一ビルで

 熱海市伊豆山の土石流の影響で一時的に閉所を余儀なくされていた地元の福祉作業所「心象めぐみ会共同作業所」が、JR熱海駅近くのビルで再開した。利用者は喜ぶ一方、職員は「元の場所に安全に戻れるのか、戻っても利用者のための仕事は地元にあるのか」と不安を感じている。(籔下千晶)
 施設は一九九四年に開所し、現在は熱海市と伊東市に住む精神、知的、身体障害のある成人十七人が利用している。土石流が起きた三日は大雨で休業だったため、けが人はなかった。建物も被害は免れたが、施設のすぐ近くまで土石流が迫り、周囲に規制線が張られているため、施設を使うことは難しくなった。発生後は捜索活動に携わる人たちの休憩所となっている。
 「利用者の生活のリズムを崩すわけにはいかない」。職員は再開の場所探しに奔走。九日には県に支援を求める要望書を提出した。状況を知った他の作業所や市議から紹介されたのが、熱海市田原本町の熱海第一ビル。会議室の一室を当面の間、無償で借りられることになった。
 十三日から利用者六人で、古傘から布地をはずし、エコバッグの素材にする作業や内職を開始。利用者の一人で、熱海市の佐藤瞳香(とうか)さん(27)は「休みは退屈だった。再開してうれしい」と笑顔で話した。
 作業所のサービス管理責任者の山根さよ子さん(40)も再開に「ホッとした」と話す一方、元の場所に戻れるかという課題を抱える。今までは近くの高齢者施設や伊豆山神社の清掃も担っていたが、再開の見込みは立っていない。
 もともと熱海第一ビルの地下には週一回だけ開いていた作業所の売店があり、ビルでの作業期間中は毎日開店する。エコバッグなどを販売しており、営業時間は平日の午前九時半〜午後二時半。

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