ピアスの穴は心のサイン<新宿共助>

2021年7月22日 07時12分

ピアスを一気に開けた当時の女性のメモ。「自傷行為なのかな?」と書かれている=都内で

◆新宿共助 食品配布の会場から

 都議選の投票日を三日後に控えた今月一日、都庁前の食品配布会場で会った女性(52)が暮らす都内のアパートを訪ねた。招き入れてくれた女性は、椅子に座るなり「毎日、とてもさみしいんです」とため息をついた。
 二年半前、介護施設で働き始めた。ふと、シフトについて感じた疑問を本社に問い合わせたら現場の男性上司の怒りを買った。「頭越しにされて面目丸つぶれだ、俺の下では働かせられないと罵倒された」。翌日から出勤が怖くなり、納得できないまま退職した。
 ストレスから食べずにいられなくなった。「体重が一気に十五キロも増えた」。収入がないのに食費ばかりがかさむ。このころ、両耳にピアスホール(穴)を十四個も開けた。「不安な気持ちをどこに向けていいか分からなくて…。自傷行為だと思う」
 生活保護を利用しながら公共施設でアルバイトを始めたが、コロナ禍で契約が切れた。次の仕事はなかなか見つからない。不安が募るにつれ過食症の症状が悪化した。昨年末は、家賃とは別に毎月約七万円が支給される保護費のほとんどを食費につぎ込んでしまった。年が明け、無料で食品がもらえる民間のフードバンクに行った。
 相談できる友人がいない。「普通になりたい」と思うと、髪の毛を抜くのがやめられなくなる。どうしても話がしたいときは「いのちの電話」にかけるが、なかなかつながらない。「誰とも話せないのが一番きつい。ピアスホールを開けたままにしているのは、誰か、私のことを気にかけてほしいから」
 夢はある。以前はジム通いが趣味だった。生活に余裕ができたら、また体を動かしたい。できたらプロのインストラクターになれたらいいなと思う。「だから、早く生活保護を抜け出したい」(中村真暁)

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