アートで問い掛ける五輪 「何のための開催か」 神保町で「終息宣言緊急展」

2021年7月22日 07時13分

5つの輪を道路標識の禁止マークにした

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、二十三日に開幕する東京五輪について考える美術展が千代田区の神保町駅近くのギャラリーで始まった。多くの会場が無観客となり「復興五輪」の理念が薄れてしまった今、「何のための開催か」を問い掛ける。(井上靖史)
 タイトルは「オリンピック終息宣言緊急展」。二十五人が五十点を出品した。世論調査では開催に慎重な意見が大勢を占めているのにもかかわらず、強行される大会への疑問をアートで表現した。

洋式トイレの便座を国立競技場に見立てた作品

 町田市の三木祥子さんは洋式トイレの便座の写真を展示した。見立てているのは、観客席に屋根があり巨額の建設費がかかった国立競技場だ。福島の原発事故で出た大量の汚染土入りの袋の写真と重ね合わせ「復興五輪」の理念が空疎なものになってしまったことを思わせる。
 千葉県習志野市の山田葉子さんは、スープ皿とスプーンに「命のスープ ¥78億7500万円」とタイトルを付けた。「円」を「人」に置き換えればほぼ世界人口になる。五輪よりも飢餓に苦しむ人たちへお金を回すよう訴える。会場には五つの輪にそれぞれ斜線を引き、「通行止め」の道路標識に見えるようにした横断幕もあった。
 会場の確保に苦労した。「国策に反対する人たちの表現する場が無くなってきていると感じる」。呼び掛け人の作家戸山灰(こやまかい)さん(45)=川崎市川崎区=が言う。
 もともと開催を予定していた国立競技場近くのギャラリーからは、開催決定から数日後、「申し訳ないが貸すのは難しい」と連絡があった。戸山さんは「当初は乗り気だった。誰かに断るよう言われたのでは」と感じた。ほかにも十カ所ぐらいの会場から断られたという。
 「『人類がコロナに打ち勝った証し』や『復興五輪』『平和の祭典』というのはうそばかり」と思う。コロナ禍で「政治の無策から目をそらすことがオリンピックの目的。異議を申し立てなければ私たちの命が奪われる」と話した。
 会場は千代田区一ツ橋の日本教育会館一階。都営線・東京メトロ神保町駅から徒歩三分。二十六日まで。無料。正午〜午後七時。最終日は午後五時まで。

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