消費トラブル 増加懸念 18歳成人 来年4月から

2021年7月22日 07時37分
 2022年4月1日から、民法の改正により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる。明治時代以来、約140年ぶりの変更で、高校生を含めた10代の若者が「大人」としてさまざまな契約ができるようになる。一方で、トラブルの増加を心配する声も。これまでと何が変わるのか、改めて押さえておきたい。 (河郷丈史)

◆ローン契約可能に

 法務省によると、民法が定める成人年齢には「一人で契約できる」「父母の親権に服さなくなる」という意味がある。このため、成人年齢に達すると、親の同意がなくても携帯電話の契約をしたり、クレジットカードを作ったり、一人暮らしのために賃貸住宅を借りたり、ローンを組んで高額な商品を買ったりと、さまざまな契約が可能となる。
 ただ、全国の消費生活相談窓口に寄せられるトラブルの相談は、成人して間もない二十代前半で急増する傾向にある。二〇年度の年齢別の相談件数で、未成年の十八〜十九歳の平均が四千八百二十件だったのに対し、二十〜二十四歳は一・六倍の七千七百四十一件に上った。
 「成人後に被害が急増する大きな要因の一つは『未成年者取り消し権』が使えなくなること」と国民生活センター。未成年が親の同意を得ずに契約をした場合、成人とうそをついたなど一部のケースを除き、契約を取り消すことができるという民法の規定だ。成人年齢の引き下げ後は十八、十九歳に未成年者取り消し権が適用されなくなるため、トラブルの増加が心配される。

◆高校での教育充実

 成人直後に目立つのは、エステや脱毛などの美容サービス、もうけ話をうたう副業サイトや投資商品、情報商材などの契約を巡るトラブル。インターネットの情報を見て自ら連絡したり、会員制交流サイト(SNS)で知り合った人物や友人から誘われたりしたことがきっかけで、契約時にお金がなくても、消費者金融や学生ローンで借金をさせられたり、クレジットカードで支払わされたりする場合もあるという。身近な契約やお金について、十代のうちから理解を深めることが重要となっている。
 来年四月から始まる高校家庭科の新学習指導要領では、契約の重要性や消費者保護の仕組みといった消費者教育に関する内容を充実。家計管理への理解については、株式や債券、投資信託などの金融商品の特徴や、資産運用の視点に触れることが盛り込まれた。

◆識者に聞く 考える「態度」必要

 成人年齢の引き下げにどう備えればいいか。日本消費者教育学会会長で、椙山女学園大教授の東珠実さん(61)=写真=に聞いた。
 18歳になれば高校生でも消費者として責任を負うことになるため、契約やお金に関する最低限の知識が必要となる。ただ、難しい法律の知識などを学ぶ必要は必ずしもなく、契約に対する正しい「態度」を身に付ければいい。
 相手に誘われるままに勢いで契約をするのではなく、よく考える。「必ずもうかる」といったあり得ない話を持ち掛けられたとき、「変だな」と気付いて、すぱっと断れる。シンプルなことだが、これができるだけでもトラブルは減る。
 もしトラブルに遭ったら、大切なのは相談機関に相談すること。未成年者取り消し権が使えなくても、さまざまな消費者保護の仕組みがある。相談は自分の被害を回復するだけでなく、他の人が新たに被害に遭うことを防ぐことにもつながる。

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