いざ「農」レジャー 都会のど真ん中で土いじり 収穫した野菜をゲット、ストレスも発散<まちビズ最前線>

2021年7月25日 05時50分

高層ビルに囲まれた「アトレ恵比寿」の屋上にある菜園=渋谷区で

 コロナ禍の自粛生活のストレスを発散したい―。東京都内の住宅街や駅ビル屋上の貸農園で、農作業を楽しむ人が増えている。屋外で密にならずに適度な運動になる上、収穫した野菜も味わえる。身近でお得なレジャーとして、キャンセル待ちの農園が出るほどだ。(嶋村光希子)

◆閑静な住宅街に突如、畑…

 世田谷区中町の閑静な住宅街の一角。「アグリメディア」(目黒区)が運営する約1000平方メートルの貸農園・シェア畑には、みずみずしい緑の作物が広がる。親子3世代やママ友同士ら約200組が野菜の栽培を楽しんでいる。

コロナ禍でレジャーとしての農作業が人気を集める中、貸し農園で野菜作りを楽しむ家族連れ=世田谷区のシェア畑上野毛で

 「近場で家族みんなが挑戦できることを探していた。都会育ちの娘も自然と触れ合え、食育にもなる」と話すのは、近くに住む松尾裕美さん(44)。シェア畑は自宅に入ったチラシで知り、5月から家族3人で枝豆やナスなどを栽培している。長女のひかりさん(6つ)は「自分で作ったミニトマトを早く食べたいな」と笑った。
 シェア畑の利用料金は場所によって異なる。この農園では、3~4・8平方メートルの区画を月に1万~1万3千円で貸し出し、年間では12万~16万円ほどになる。農具を借りられ、苗の植え方や育て方は専門スタッフが助言する。

農具は自由に借りられ、手ぶらで農作業を楽しめる=世田谷区のシェア畑上野毛で

◆コロナ禍以降、契約2倍に

 シェア畑は都市部の遊休農地を活用し、首都圏と関西に約100カ所ある。コロナ禍以降の新規契約数は2倍に増えた。アグリメディアの広報担当者は「近場で自然と触れ合う価値が見直されている」と話す。

ママ友同士で一つの区画を「シェア」する人も多い=世田谷区のシェア畑上野毛で

◆駅直結で通いやすく

 高層ビルに囲まれた駅ビルの屋上に広がる貸農園も人気だ。JR恵比寿駅(渋谷区)に直結したアトレ恵比寿の屋上にある「まちなか菜園」では、約190平方メートルを40組に貸す。1区画の年間利用料は10万~15万円。職場や自宅から通いやすく、コロナ禍後はキャンセル待ちが出ている。
 運営する「東邦レオ」(大阪市)は都市緑化の資材メーカーで、新規事業として2009年からビル屋上で貸農園を始めた。首都圏では現在、都内と埼玉の計5カ所で運営する。

「アトレ恵比寿」の屋上にある菜園を手入れするスタッフ=渋谷区で

◆「自分の食料、自力で確保」

 新潟食料農業大の青山浩子講師は「東日本大震災以降、自分の食料を自力で確保することへの関心が高まっていた。今回のブームもその流れにあり、貸農園に参入する企業が増えればより多くの人が楽しめ、農業への間口も広がるだろう」と指摘する。

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