メンツにこだわり1年延期、スキャンダルで多様性の欠如露呈…迷走続きの東京五輪開幕へ 

2021年7月23日 06時00分

開会式のリハーサルのため国立競技場に向かう出演者ら=18日、東京都新宿区で

 東京五輪は22日、開閉会式の演出担当の小林賢太郎氏(48)が解任され、開幕直前まで混乱を露呈した。2013年の開催決定以来、政財界一体となった「オールジャパン」体制は迷走を続け、皮肉にも多様性の欠如や「事なかれ主義」など、日本社会の問題点が浮き彫りになった。新型コロナウイルス禍で無観客開催に追い込まれ、多くのトラブルで国民の信頼を失ったまま、17日間の大会が開幕する。(原田遼)
 「我々にとっては非常に望ましくない事件が起こっているのは、まあその通り」。大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は22日の記者会見で、大会のイメージについて人ごとのように振り返った。
 1年延期の決定は、新型コロナの世界的流行が始まったばかりの昨年3月24日だった。森喜朗・組織委前会長によると、森氏と当時の安倍晋三首相の2人で延期時期を決め、森氏はその会見で「神頼みのところはある」とうそぶいた。
 こだわったのは日本のメンツだ。当時、五輪相だった橋本聖子組織委会長は「2年延期となると、冬の(北京)五輪を通り越してしまう。1年延期が妥当ではという話だった」と明かす。経費が1兆円を超える大イベントにもかかわらず、感染症の専門家を含めて開かれた議論もなかった。
 組織委は13年に発足すると、会長に就いた森氏は事務総長に元大蔵省(現財務省)次官の武藤氏を置き、財務や大会運営の要職を財務省、文部科学省の出向組で固めた。重大な意思決定はこれらの取り巻き5~6人で秘密裏に行われた。
 元首相の影響力は絶大。政府は大会に必要なインフラ整備を順調に進め、スポンサーもトップ企業を中心に81社を集めた。
 しかし、多くの利権が絡み合った結果、市民感覚と懸け離れた決定が続いた。新国立競技場の白紙撤回から開幕直前の解任劇まで、さまざまなトラブルと混乱が「国民不在」の五輪を印象づけた。
 橋本会長は17日の会見で「コロナ前のように多くの国民に期待される大会ではなくなってしまった」と五輪の現状を率直に認めるしかなくなった。

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