出身地や性的指向など関係ない「スポーツは美しい」 多様性を認め合う機会に<担当記者の視点>

2021年7月23日 06時00分
男子高飛び込み決勝のトーマス・デーリー=2019年3月3日、相模原市立総合水泳場で

男子高飛び込み決勝のトーマス・デーリー=2019年3月3日、相模原市立総合水泳場で

 国籍や人種が違っても「人間」同士が競い、そして、認め合う。スポーツの持つ役割の一つだろう。今年5月に東京で開かれた飛び込みのワールドカップ。27歳のトーマス・デーリー(英国)の言葉が印象深かった。
 「出身地や性的指向など関係なく演技によってジャッジされる。スポーツは美しい」
 2008年の北京五輪は14歳ながら7位入賞。自国開催の12年ロンドン五輪からは2大会連続で表彰台に立った。4大会連続の五輪となる東京大会の切符も手にした。
 競技での実力はもちろんだが、それ以外でも注目を集めてきた。動画投稿サイト「ユーチューブ」で男性との交際を公表し、17年には結婚。18年には長男を授かり、会員制交流サイト(SNS)で私生活を含めて発信している。
 「若いころにスター選手が(性的指向などを)オープンにしていたら、孤独や不安を感じることがなかったかもしれない」。いじめに遭って悩んだ経験もあり、発言には心情がにじむ。
 コロナ禍で人々の生活は一変した。耐え忍ぶアスリートがいる半面、五輪を取り巻く世界では政治色が目立ち、失言や強弁も反発を招いた。開催の意義は不透明になり、肥大化した祭典には今も賛否が渦巻いている。
 「著名な選手が自身の物語を共有すれば、人々の心を変えられると思っている」とデーリーは言う。今大会のコンセプトの一つに掲げられた「多様性と調和」。逆風でも開催される以上、選手は持てる力を尽くす。互いを認め、理解を深める契機になれるだろうか。(磯部旭弘=水泳、卓球担当)
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 東京五輪が23日夜、開幕する。コロナ禍で異例ずくめの大会。これまで選手を取材してきた運動部の記者が、今の思いや大会報道への意気込みをつづった。

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