母国で日の丸を背負う…サッカー男子主将・吉田の言葉ににじむ責任感と決意<担当記者の視点>

2021年7月23日 06時00分
日本―韓国 国際親善試合でプレーする吉田麻也=2021年3月25日、日産スタジアムで

日本―韓国 国際親善試合でプレーする吉田麻也=2021年3月25日、日産スタジアムで

 サッカーにとって、五輪は最上の大会ではない。出場に年齢制限のある男子にとっては、4年に1度のワールドカップ(W杯)こそが最高の舞台だ。「五輪がゴールではない」。これまでの取材で多くの選手から、そんな言葉を耳にした。欧州を舞台に戦う選手の中には五輪へ複雑な思いを抱く者も少なくない。
 五輪がある夏は欧州クラブの新シーズンに向けた始動と重なる。スタートで出遅れれば自チームのレギュラー争いで後手に回り、キャリアに響きかねない。だから年齢制限のないOA(オーバーエージ)を含めて北京、ロンドンと過去2回の五輪を経験した男子の吉田麻也(サンプドリア)にとって、五輪は「終わったもの」で、声がかかっても固辞する意向だった。
 しかし、新型コロナウイルス禍で気持ちに変化が起きた。五輪が延期された2020年、主将を務める日本代表の活動も停止を余儀なくされ、結局、国内で試合をすることはかなわなかった。「コロナで代表に行けない期間ができて、代表への思いを再確認できた」。母国で日の丸を背負う気持ちが強まった。
 「僕らの行いが五輪に向けていろいろ左右する。全てのオリンピアンの期待を背負っている」。1年4カ月ぶりの国内での代表戦となった今年3月の韓国戦を前に吉田は強調した。日本代表は国内で他の競技に先立ち、外界と遮断した「バブル」方式に取り組んだ。その成否が五輪の行方や世論に影響することは理解していた。
 吉田の言葉には自国開催の五輪へ強い責任感と決意がにじんでいた。 (唐沢裕亮=サッカー担当)
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 東京五輪が23日夜、開幕する。コロナ禍で異例ずくめの大会。これまで選手を取材してきた運動部の記者が、今の思いや大会報道への意気込みをつづった。

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