ファンの応援を力に変えてきた選手たち 静まり返る舞台でどう乗り越えていくか<担当記者の視点>

2021年7月23日 06時00分
西武戦に先発した大野雄=2021年6月11日、メットライフで

西武戦に先発した大野雄=2021年6月11日、メットライフで

 子どもの頃からよくプロ野球の試合を見に行った。選手ごとに応援歌が流れ、たいこやメガホンを打ち鳴らす音が飛び交う。あのやかましい空間が好きだった。時には汚いやじもあったが、今となっては懐かしく感じる。
 球場の観客席から観客の声援が消えたのは昨年2月だった。新型コロナウイルス感染拡大でオープン戦が無観客となり、当初3月に予定されていた開幕戦は6月に延期。7月になって無観客の制限は緩和されたが、鳴り物はなく、声援も禁止。応援スタイルは拍手に変わった。
 昨季10完投、6完封で沢村賞を獲得した中日の大野雄大投手は、この拍手に背中を押されたという。「九回のマウンドはいつも最後の気力という部分。拍手でマウンドに迎え入れてくれるおかげで投げ切れた」
 声を出せないファンの願いが、毎試合のように最後まで投げる背中を押した。声援を送れなくなったことで、選手がより応援のありがたみを感じてくれたことが、ファンの一人としてうれしかった。
 大野は「横浜スタジアムは、いつもお客さんが超満員のイメージ」と、自国開催の舞台で観客に囲まれて投げる姿を思い描いてきた。しかし、拍手すらも聞けないことになる。野球は福島での開幕戦も含め無観客。選手が望まない結果となってしまったことが歯がゆい。
 日本でとりわけ人気の高い野球は、無観客に慣れていない。ファンの応援を力に変えてきた選手たちが、静まり返る球場で厳しい戦いをどう乗り越えるのか、注目したい。 (荒木正親=野球担当)
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 東京五輪が23日夜、開幕する。コロナ禍で異例ずくめの大会。これまで選手を取材してきた運動部の記者が、今の思いや大会報道への意気込みをつづった。

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