幸四郎「義賢最期」 初役に意欲 力強さと滅びの美みせる 歌舞伎座「八月花形歌舞伎」

2021年7月23日 07時21分

「義賢最期」で木曽先生義賢を演じる松本幸四郎(撮影・加藤孝)

 東京・歌舞伎座の「八月花形歌舞伎」第三部で、松本幸四郎(48)が、源平の争いをベースにした古典の名作「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき) 義賢最期(よしかたさいご)」に出演、初役で木曽先生義賢(きそのせんじょうよしかた)をつとめる。「やりたいとの思いがあった。義太夫狂言(元々人形浄瑠璃のために書かれ、後に歌舞伎化された作品)の力強さを出せたら」と意欲を見せた。 (山岸利行)
 全五段からなる「源平布引滝」のうち、二段目「義賢最期」は、三段目「実盛(さねもり)物語」とともに単独で上演されることの多い人気演目。兄の源義朝が平家に討たれ、隠棲(いんせい)しながらも、源氏再興を心に秘める義賢。平家方と果敢に戦うも壮絶な死を遂げる。後半の派手な立ち回りも見どころ。

「義賢最期」について語る松本幸四郎=東京都内で

 幸四郎は「(気持ちなどを)発散するのとは違う、腹に力のいるお役。にじみ出る強さを大事にしたい」と役づくりへの抱負を語る。また、「いくら血だらけになっても美しさはある」と言い、「滅びゆく美」を意識して「感情的な言葉も音としてきれいなものを心掛けたい」。
 コロナ禍で歌舞伎公演の中止が昨年春から続き、再開されたのが同年八月。再開から間もなく一年がたつ。「興行できるのはありがたい」としながらも、大向こう(掛け声)禁止や一演目の上演時間を短くした興行などの現状に「まだまだこれからだと思う」と現状を見つめる。公演中止期間には意欲的に歌舞伎のオンライン配信も実施したが、「止まってしまうと終わり。常に前進したい」と今後を見据える。
 「義賢最期」の出演はほかに、中村隼人、市川高麗蔵(こまぞう)ら。
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 「八月花形歌舞伎」は三〜二十八日(十、十九日は休演)。第一部(午前十一時開演)は「加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ) 岩藤怪異篇」(市川猿之助ら)。第二部(午後二時三十分開演)は「真景累ケ淵(しんけいかさねがふち) 豊志賀の死」(中村七之助ら)、「仇(あだ)ゆめ」(中村勘九郎ら)。第三部(午後六時開演)はほかに「伊達競曲輪鞘當(だてくらべくるわのさやあて)」(中村歌昇ら)、「三社祭」(市川染五郎、市川団子)。
 チケットホン松竹=(電)0570・000489。

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