熱海土石流起点部ルポ 崩れた盛り土、今も多く 進む二次災害への備え 国交省が公開

2021年7月23日 08時09分

盛り土の崩落現場(奥)付近にGPS観測機器を設置する作業員たち=いずれも熱海市伊豆山で

 熱海市伊豆山の土石流災害を甚大化させたとされる盛り土があった起点付近を、国土交通省中部地方整備局が、報道陣に公開した。発生からまもなく三週間。崩れ落ちた盛り土は地山の茶色と違い全体的に黒っぽく、住宅街の上流各所に今も多く堆積する。土石流の起点とみられるこの周辺では、二次災害への備えが進んでいた。(山中正義)
 国交省はこの周辺で砂防工事を進める予定で、その一環で二十一日に公開した。現場にはバスで向かった。急な斜面に家が立ち並ぶ閑静な別荘地を抜けると、森林や生い茂った草が目に入った。見晴らしの良い場所へ出ると、景色は一変した。設置されたパイプ柵越しにのぞき込むと、地面を巨大な爪でえぐられたような災害の痕が眼前に広がった。盛り土が崩れ落ちた場所だ。
 土石流発生の翌四日に訪れたときは雨が降り、山頂付近は霧に覆われていた。あれから二週間以上。梅雨も明け、晴天が続き、崩れ落ちた盛り土の表面はすっかり乾いていた。
 盛り土が崩れ落ちた谷間の大量の土は、むき出しになった地山の茶色とは明らかに異なり、全体的に黒っぽい。崩落部と森林の境には倒れた木々もあった。埋められたとされる産業廃棄物らしきものは目では確認できず、臭いもなかった。

地山の茶色(右側)とは異なり、黒っぽい土が目立つ崩落現場

 国交省によると、崩落した盛り土の土砂は上流部の沢だけでなく、起点部の約五百メートル下流にある県の砂防ダム周辺に今も堆積している。崩落部には、まだ崩れ切っていないとみられる場所も残っている。
 二次災害を防ぐため、県は現場に監視カメラや地盤の動きを調べる伸縮計、雨量計を設けた。国交省は二十一日、地盤の動きをとらえる衛星利用測位システム(GPS)を設置した。

現場を監視するカメラなどが取り付けられたやぐら

 同省中部地方整備局の角田隆司・河川工事課長は「堆積した土砂は雨で流れ出し、二次災害の危険性がある。観測機器の設置とともに砂防工事に一刻も早く着手したい」と話した。
 盛り土は神奈川県小田原市の解体業者が土砂を搬入して造成。災害発生前には市への届け出を大幅に超える三十五〜五十メートルの高さまで積み上がっていた。
 現場を訪れて危険性を以前から感じていたという地元住民の言葉を思い出した。「(業者が)重機で手を入れたところが崩れた。大きな樹木を間伐してしまうことは恐ろしい。心配したことが現実になった」

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