ワクチン、手洗い、マスクに加え のど潤しインフル対策

2020年1月21日 02時00分
 インフルエンザの流行が本格化している。年が明けて仕事が始まり、受験シーズンも真っただ中。発症はなんとしても避けたいと考える人が多いのでは。ワクチン、手洗い、マスクなど基本の対策が何より重要だが、加えて注目されているのが、のどの粘膜や唾液のバリアー機能を高める新習慣だ。 (小中寿美)
 呼吸器内科が専門で、池袋大谷クリニック(東京)院長の大谷義夫さん(56)は「最も大事なのは、ワクチンの接種」と強調する。接種してもかかることはあるが、症状は軽くできる。インフルエンザの流行は例年三月まで続く。抗体の効果は、接種から約二週間で表れるため「今からでも検討してほしい」と話す。
 手洗いも大事。インフルエンザウイルスは患者のせきやくしゃみ、話をした際に出る飛沫(ひまつ)とともに排出される。金属やプラスチックに付くと丸一日は感染力を持つと考えられるため大勢が触るつり革やエレベーターのボタン、ドアノブなどは要注意。手にウイルスが付いた可能性を意識し、粘膜につながる鼻や口、目はむやみに触らない。手洗いはせっけんを泡立て念入りに。アルコールによる手指の消毒は、より有効なので家に常備するのがお勧め。
 マスクは、人混みで飛沫を吸い込むのを防ぐ。ウイルスが付く表面は触らず、使い捨てを徹底したい。
 これら基本の対策に加え、大谷さんが実践するのは緑茶をちびちび飲む習慣だ。インフルエンザウイルスは、鼻や口から入り、のどの粘膜細胞に吸着。細胞内に侵入することで感染が成立する。感染すると、ウイルスは急激に増殖を始める。本来、粘膜細胞の表面にはウイルスや細菌の侵入を防ぐ機能が備わっている。粘液が異物をとらえ、線毛が波打って押し出すという具合。乾燥すると、この機能は低下するため、のどを潤すことが重要なのだ。
 緑茶の主要成分のカテキンには、インフルエンザウイルスの感染リスクを下げる可能性があることが、静岡県立大などの研究で分かっている。近年、緑茶でうがいしてウイルスを外に出す方法が知られるが、飲むのも効果的。「胃に流れれば胃酸でウイルスは死ぬ」と大谷さん。粘膜細胞に吸着後、感染するまでにはさほど時間がかからない。そのため十~十五分ごとに少量ずつ飲む方法を紹介する。
 加湿器を使うのもいい。インフルエンザウイルスの感染力は湿度が高いと落ちるとされてきたが、最新研究として海外では二〇一八年、「湿度が高くてもウイルスの感染力は低下しない」という趣旨の論文が報告された。ただ、大谷さんは「線毛の働きを良くしてのどの免疫をアップするには適度に加湿をした方がいい」と話す。

◆唾液にも予防効果

 唾液にもウイルスの侵入を防ぐ機能があると分かってきた。神奈川歯科大副学長の槻木恵一さん(52)によると、唾液にはさまざまな抗菌物質が含まれ、中でもIgA(免疫グロブリンA)と呼ばれる抗体は、ウイルスなどの異物を見つけるとくっつき、粘膜に異物が付着するのを防ぐ。
 唾液の十分な分泌はインフルエンザの予防につながると考えられるが、冬の寒さや乾燥などが原因で、唾液が出にくくなるとIgAも減ってしまう。量を増やすには唾液腺をマッサージするのがお勧め。特に、頬の表面近くにあって寒さの影響を受けやすい耳下腺は、マッサージの効果が出やすい。かむ回数を増やすことも唾液の増加を促す。食材は大きめに切ってよくかもう。唾液は脱水症状を起こすと減るため、こまめに水分補給することも意識したい。
 もう一つ、唾液は腸内環境と関係がある。槻木さんは「ヨーグルトなどの乳製品を継続して食べ、唾液の質を上げて」と呼び掛ける。

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