看護師「五輪のニュースは見たくない」 開会式当日も外出せず「自分たちは何なんだろう。腹立たしい」

2021年7月23日 19時17分
 東京都内の総合病院の呼吸器内科に勤める40代女性看護師は、23日は休みで、朝から自宅を出ずに過ごした。「選手は悪くないけれど、正直、五輪のニュースは見たくない」とテレビも付けていない。
 この約1年半、コロナ患者の対応や感染防止対策に神経をすり減らしてきた。外食は一度もしていない。「医療従事者として責任ある行動を」と病院から再三言われ、電車にも乗らなくなった。小学生の娘は遊びに行けない状況を我慢してくれている。
 「仕事で仕方ないと思いながらも、緊急事態宣言下で五輪が開催され、会食したり出歩いたりしている人を見ると、自分たちは何なんだろう…と。腹立たしい」

緊急事態宣言下の五輪に看護師はやり切れない思いを抱える(写真は本文と関係ありません)

 昨春、コロナ患者を受け入れ始めたころは、医療物資不足が深刻で、薄い防護服の上にゴミ袋を着用。都支給の防護服にカビが生えていたこともあった。今は都立病院などの受け入れ態勢も整い、当初の混乱はなくなったが、最近の感染者の急増は気掛かりだ。
 昨年から同僚5人が休職や退職。勤務先の経営が厳しくなってボーナスは約5万円減った。一方、コロナ禍で面会が制限され、看護師が電話で家族に患者の様子を伝えたり、オンライン面会を設けたりと新たな業務は増加。疲弊している。
 「世の中と医療現場の温度差はどんどん広がっていると思う。なるべくして感染したような人も、最後に頼るのは病院。首相や都知事は医療従事者に感謝するけれど、五輪の対応を見ていると医療現場に関心がないのでは、と思えてがっかり」と話した。(奥野斐)

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