渋沢栄一に感謝のメダル 100年前にアルメニア難民救済 五輪で来日の大統領、北区の財団に

2021年7月24日 07時22分

渋沢栄一のアルメニア難民救済に対して授与されたメダル

 北区ゆかりの実業家・渋沢栄一は約百年前、オスマン帝国(現在のトルコ)から迫害されたアルメニア難民の救済に取り組んだ。日本の難民支援の先駆けともされる渋沢の人道支援をたたえ、東京五輪開会式出席のため来日しているアルメニアのサルキシャン大統領が二十三日、区内の渋沢史料館(西ケ原二)を訪れ、勲章にあたるメダル「ヘンリー・モーゲンソー大使メダル」を渋沢栄一記念財団に授与した。(砂上麻子)
 イスラム教のオスマン帝国には古くからキリスト教徒のアルメニア人が居住していた。一九一五年から数年間、大規模な迫害を受け、世界各地に離散した。
 渋沢は二二年、自らを委員長とするアルメニア難民救済委員会を発足。アルメニア人孤児を救うため日本の市民から義援金を募り、九千ドル(現在の価値で約一千万円)を、米国の政財界が組織した慈善団体へ送金した。
 メダル名称のヘンリー・モーゲンソー大使は、駐オスマン帝国の米国大使として、アルメニア人虐殺の実態を世界に広く知らせた人物として知られる。バイデン米大統領は今年四月、アルメニア人迫害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定。約百五十万人が命を失ったとの説もある。トルコは虐殺を否定している。

渋沢栄一の銅像(奥)の前で語り合うサルキシャン大統領(右)と渋沢雅英さん=いずれも北区で

 旧ソ連から独立したアルメニアではここ数年、日本との関係の研究が進み、渋沢の難民救済についても関心が高まっている。メダルは「アルメニア・ジェノサイド博物館・研究所財団」が人道に対する罪の抑止に貢献した著名人に授与され、サルキシャン大統領が渋沢のひ孫で渋沢栄一記念財団相談役の渋沢雅英さん(96)に手渡した。
 大統領は「渋沢栄一は素晴らしい人物。アルメニアの恩人です」と称賛し、「これからも日本との関係を大切にしたい」と語った。雅英さんも「『みんなが幸せになるために』がモットーだったので、渋沢の思いが届いた」と喜んだ。

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