<あぶくま便り>(13)夏の福島にやってきた

2021年7月24日 07時28分

田んぼビオトープでドジョウやトンボとりを楽しんだ小金山祐希さん(左)と加藤礼子さん=福島県二本松市で

 「トンボをつかまえた!」「ドジョウもとったよ!」
 初めて福島にやってきたのは、慶応大四年生の加藤礼子さんと小金山祐希(ゆき)さんです。大学のゼミの一環で、二泊三日滞在します。田んぼには六月下旬に羽化したトンボがたくさん飛び交っています。シオカラトンボ、マイコアカネ、アオイトトンボなど十種類以上がいます。
 田んぼビオトープにはドジョウ、タニシ、ゲンゴロウなどが大きく育っています。二人は初めてつかまえたドジョウやトンボに大喜びです。農業体験はトマトの誘引作業をしました。成長して伸びていくトマトをひもでくくっていく作業を黙々と半日やりました。
 夜は田んぼの道を歩き、ホタル観察会に行きました。林の中に光るホタル、田んぼを飛び交うホタルに大はしゃぎです。ここにはゲンジボタルより小さいヘイケボタルが生息しています。
 次の日は、帰還困難区域の浪江町や双葉町にも足を延ばして、除染作業の実態や海岸沿いの復興の様子をつぶさに見てきました。
 「福島に行きたいと、ずっと思っていました。やはり現場に来てみないとわからないと実感しました。被災地の実情を友達にも知らせていきたいです」
 朝は畑に行って、キュウリやミニトマト、ナスなどをかごいっぱいに採ってきました。朝食を食べながら、「こんな新鮮な野菜はなかなか食べられません。免疫力がつく感じ」「東京に戻りたくない」。
 二人は大学卒業後、IT関連会社と報道関係の仕事に就くそうです。「福島に来て、もう一度自分の生き方や社会とのかかわりについて考え直す機会になりました」「二時間で福島に来られることがわかったので、また来ます」
 都会が新型コロナウイルス感染症におびやかされている一方で、自然に囲まれた農村の暮らしと人の健康は持続されています。来年から社会人になる二人には、いつでも帰ってくるようにと送り出しました。
 (菅野正寿 農家。福島県二本松市東和地区で農産加工と農家民宿を主宰)

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