助け合いのリレー全国へ 障害者と難病患者支援で企画 主催の楠田さん、心臓にペースメーカー入れ参加

2021年7月24日 07時41分

励まし合いながらフルマラソンのリレーに挑戦する参加者たち=いずれもさいたま市南区の別所沼公園で

 リレー形式で四二・一九五キロを走り、参加費を障害者や難病患者らへの支援に充てるプロジェクト「RunDreams(ランドリームス)」が、さいたま市南区の別所沼公園を拠点に行われている。二月のスタート以来、悪天候でも休まず毎日継続。主催する楠田昭徳代表(78)=同区=自身も「活動を全国に広める」という夢に向かい、ペースメーカーを入れた体で走っている。(杉原雄介)
 連日の雨天から一転して快晴となった今月十日朝。視覚障害のあるランナーと伴走者八ペア、計十六人が別所沼公園に集まり、二チームに分かれて一周約九百二十メートルのコースでリレーをした。新型コロナウイルス感染防止のためバトンは使わず、「行ってらっしゃい」「ナイスラン」と励まし合いながら周回を重ね、四二・一九五キロをクリアした。
 初参加のランナー小原丈夫さん(51)=東京都新宿区=は「慣れてくるとコースの特徴が分かってきて楽しい。水の音を聞きながら走るのも心地よい」と笑顔。楠田さんもリレー中にコースを見回って危険箇所がないかチェックするなど、精力的に動いていた。
 楠田さんは中学校で陸上を始め、立教大では四年連続で箱根駅伝に出場。一九六四年の東京五輪のマラソン代表選考レースに挑戦した経験もあり、二〇〇九年にはフルマラソン連続五十二日間のギネス記録(当時)を樹立した。
 転機は一五年一月に始めた「チャレンジ2020」。東京五輪が開幕予定だった二〇年七月までの二千二十日間、ランナーたちが別所沼公園で毎日計四二・一九五キロを走るイベントで、参加者は国内外から集まった。その中には障害があったり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など重い病気がある人もいた。
 ハンディがあっても日々楽しめることを探し、ひた向きに走る姿に「自分が同じ立場だったら、こんな前向きに生きられるだろうか」と心を動かされた楠田さん。だが、世間的には障害や病気への関心は低く、バリアフリー化も十分に進んでいないのが現状だ。「人生最後の仕事として、彼らがもっと生きやすい世の中にしたい」と支援企画を立ち上げた。

難病や障害への理解を広めるため、ランドリームスを毎日続けている楠田昭徳さん

 「二〇二一」の語呂合わせで今年二月二十一日に開始。一般の申し込みはまだ少なく、趣旨に賛同した会員ランナー数人で走る日が大半だ。一七年に不整脈で倒れてからペースメーカーを入れる楠田さんも時にはランナーとして参加し、歩きも交えて約十キロをこなした日もある。「人に訴えかけようとするなら、誰でもできる簡単なことではいけない」が信念。雨が降っても、人数が集まらなくても毎日欠かさず走り続ける。
 活動はフェイスブックで発信しており、同様の企画を始めたいとの問い合わせも寄せられる。茨城や富山、島根、鹿児島県などで準備が進んでいるといい、楠田さんは「企画が全国に広まれば、障害や難病のことを知ってもらうきっかけが増える」と意義を語る。
 当面の目標は、埼玉での参加者を増やすこと。「足が遅くても、大勢で手を携えればフルマラソンをクリアできる。走っていい汗をかいた後、みんなで語り合うのは楽しい」と老若男女の参加を呼び掛ける。
 リレーの参加費は一人二千五百円で、全額を障害者やALS患者らを支援するNPO法人などに寄付する。申し込みはランドリームスのホームページから。問い合わせは、楠田さん=電090(2733)5335=へ。

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