[あの日のおばあちゃん] 岐阜県大垣市 加藤智佳子(34)

2021年7月25日 07時44分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修
[もし外へ出たのなら] 東京都練馬区・学生・16歳 鈴木ひかり

 夏に近づいてきたからサングラスをして、おしゃれなマスクをして、大好きな曲を流すためにイヤホンをして、外へ出る。
 そして歩き出し、ふと思った。
 今日の空の色はなんだっけ。雲はどんな形だろう。
 通りかかった花壇は、何色の花を咲かせていた? この季節だと紫陽花(あじさい)だろうか。
 この間、弟がうるさいと言っていた鳥の鳴き声は?
 ああ、そうか!
 サングラスを取ったら、青空に子犬みたいな雲が浮かんでいた。
 イヤホンを外したら聞こえる、人の声、鳥の声。
 マスクは外せないけど、さすがに分かる。
 ここの空気はパンの味がする。
 こんな場所にパン屋があったのか。明日はここでクロワッサンを買おう。

<評> 「不要不急」のお出掛けがためらわれる毎日は、まだしばらく続きそう。でも、引きこもってばかりもいられません。できるかぎり風や光と直接触れ合って、気分をリフレッシュさせたいものです。

◆[椅子の下の冒険] 岐阜県羽島市・主婦・26歳 山田玲奈

 幼い息子の遊び場は椅子の下。一度潜るとおなかが空くまで出てこない。
 部屋の真ん中を占領された時の動きづらさと言ったら…。
 それ以来、わが家では椅子も机も部屋の隅に置かれている。
 椅子や机の裏側には、太古の洞窟壁画よろしく彼の力作が飾られている。
 下に潜っては、怪獣大戦争や働く車の大出動と忙(せわ)しない。
 彼の秘密基地もまた、椅子の下である。上からシーツをかけて壁を作り、潜り込む。最愛のテディベアと内密の相談があるようだ。
 父親が椅子に座ろうものなら、大きく太い両脚は橋脚となり、電信柱となり、悪の怪獣となる。
 登られ、引っ張られ、突撃され、無事では済まない。
 狭い椅子の下の彼の世界は、何と広大で生き生きとしていることか。

<評> そこは、果てしなく湧き出す夢と空想で弾(はじ)けそうにふくらんだ大宇宙! 大人にとっては狭苦しく思える空間でも、これほど楽しい場所は他にありません。今のうちに探検し尽くしておきましょう。


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