開幕したが誰も来ず… 「今日は何人泊まるのか?」 東京五輪組織委スタッフの宿泊ホテル <ルポ コロナ禍のオリンピック>

2021年7月25日 20時52分

組織委員会から届いたスタッフの予約リスト

 東京・日本橋近くの「住庄ほてる」(中央区)は東京五輪・パラリンピック期間中、帰宅できなくなった組織委員会スタッフの宿泊先の一つになっているが、予約分がほとんど利用されていない。25日は宿泊しなかった10人分の朝食を処分せざるを得なかった。「宿泊料を払ったからいい、と考えているのかもしれないが…」。コロナ禍で苦しむ従業員らをさらに落胆させている。(梅野光春)
 「今日は一応、15人泊まる予定。でも実際はほとんど来ないだろうな」
 25日午前、社長の角田隆さん(53)が予約リストを見ながらつぶやいた。全83室のこぢんまりしたホテル。開会式のあった23日から8月1日まで、仕事が深夜に及んで帰宅できない組織委スタッフを受け入れる。

東京五輪への思いを話す住庄ほてるの角田隆社長=東京都中央区で

 いざ開幕してみると、予定と現実の落差に驚いた。23日は予約11人で宿泊は1人。深夜まで続いた開会式の中継をちらちら見て、「到着は遅いだろう」と普段より3時間遅い午前3時まで大浴場を開けたが、肩透かしを食らった。
 10人が泊まるはずだった24日は午後7時に「2人になる」、その2時間後に「やはり1人に」と連絡があったが、結局だれも来なかった。朝食付きプランで、前もって調理した料理が台無しになった。
 「宿泊料はもらえるが、五輪経費の無駄遣いではないかと複雑な気持ち。明日の朝食も15人分を仕込むけど、やりがいを感じない」と角田さん。
 本来は16日から8月11日まで、海外の報道関係者らが最大で1日40人泊まるはずだった。だが来日後の隔離期間の宿泊も含まれることが6月に判明。従業員に不安が広がり、組織委とやりとりの末、国内スタッフの宿泊用に変わった。角田さんは「隔離施設と同じような感染症対策をとるのは難しく、苦渋の決断をした」と話す。
 今の時期は例年なら、都内で開かれるスポーツの全国大会に出る子どもたちで館内がにぎわう。角田さんが続けた。「そういう大会はコロナで2年続けて中止になったのに、五輪は始まっちゃった。東京の感染者は増え、五輪後も都内観光は敬遠されそう。この状態の出口戦略を、まず知りたいよ」

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